診断事例
シロアリではなく「ネズミ」の形跡を発見(千葉県)
今回は築30年以上のご自宅のインスペクション事例です。
ご依頼内容は、建物の状態を確認した上で“売却するか”“メンテナンスをして住みつづけるか”を検討したいということでした。
お聞きすると、以前は建てられた工務店に相談やメンテナンスをお願いされていたそうですが、工務店が潰れてしまってからは相談先が無くなり、以降建物にも特に手を加えてはいないとのことでした。
訪問販売などで外壁・屋根塗装業者やシロアリ業者が来られたようですが、突然訪問してきた業者に任せるのには不安があったようです。
今回特に不安になられていたのが、「廊下を歩くとフカフカしている」ということでした。
調査に伺い心配されていた廊下を歩くとかなり沈みが。(私の体重もありより沈みを感じました。)ただし、廊下だけではなく、広範囲で確認できました。
このフカフカしている所をご主人は「シロアリが食害して、構造上の問題が起きているのではないか?修繕などで大規模な改修が必要となるのでは?」という考えでした。
一番フカフカする床付近を触診しましたが、特にシロアリの食害されたような部材がスカスカになっている様子などはありませんでした。とはいえ、食害している程度や箇所によっては表面上では分かりにくいこともあるのできちんと床下へ進入して確認します。
弊社のインスペクションでは床下調査は進入調査としております。基礎構造上通れない、床下が無いなどで床下に進入できない場合を除き確認いたします。
床下の点検口が無い場合、台所などの収納庫を外すと入れるケースが多いのですが、それさえ無い場合は許可を得た上で和室の畳下の床を開口して調査をする場合もあります。
和室も無いという場合は床に点検口を作成する場合もあります。インスペクションのために点検口を作成するなんて面倒!と思われるかもしれませんが、今後のメンテナンスや定期点検で必要となりますので、点検口を予め設けておくことをおすすめしております。
なお、今回のお宅は台所に収納庫があり床下全面通れる構造とのことでした。
床下進入に対して弊社は養生を行い、なるべく粉塵が周囲に飛び散らないようにしております。とは言え、汚れ作業ではあるので順番としては最後の確認項目としております。
外回り調査
外まわりの調査で外壁や屋根においては経年的な劣化が見られましたが、室内や小屋裏などでは特に雨水の浸入した形跡はありませんでした。しかしながら、今後も同じ状態を保てる保証はありませんので、特に劣化が著しい箇所のご報告と塗装のご案内をいたしました。
床下調査
床下は土壌であり、特に防湿措置はされていないため湿気は感じるところでした。
目視可能な範囲では特にシロアリが上がっている様子(蟻道)は確認されないまま、心配されていた廊下へ。
土壌から基礎、大引、根太と目視と触診でシロアリの侵入や部材の割れなどを確認しましたが特に問題はなく、経年的なものと判断されました。
シロアリの性質上、予防対策をされていないと今後建物に侵入されることが考えられますが、懸念されていた「大規模修繕」という事態では無いことを報告出来るだろう、と他の部屋も引き続き確認していきました。
すると、土壌表面に違和感が。
土壌の違和感
そして直上の床を確認すると、そこには反った状態の断熱材。この状態では断熱効果は見込めないのですが、それ以上に気になったのが反った断熱材上に積もった物体。
近くで確認したところ、それはネズミの糞でした。
近くには通風のための通気口の金網があるものの一部破損しておりました。ネズミは見た目以上に小さな隙間さえ侵入出来てしまうので一概にはどこから侵入したか断定することは出来ません。しかし、こういった金網の破損箇所があれば入られるリスクは高まります。
家主様にはシロアリの食害として目視の範囲では起きていないことと、別にネズミの侵入が起きていることをご報告いたしました。
ネズミが入っていたことについては、ご存知無かったようで驚かれておりました。ネズミは室内に入っていなくとも、配線などを噛り火災の原因にもなることがあります。そのため、対策を検討していただくようにお伝えしました。(後日簡易的な処置を実施)
今回のように心配されていた内容とはまったく別の問題に気づくケースも多々あります。現在住まわれている自宅についても、定期的にインスペクションなどでしっかり確認されることがお家を長持ちさせる上でとっても大切です。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。