e-LOUPEの旬ネタコラム
- 中古戸建て
安心R住宅のメリットとは?中古住宅が安心して購入できる理由
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
「中古住宅を買おうか考えているときに安心R住宅なる制度が存在する事を知ったけど、正直安心R住宅なんて聞いたことがない・・・安心R住宅を購入すれば何かメリットはあるのだろうか?」
このような疑問を持たれている方のために今回は「安心R住宅」のメリットについてご紹介していきます。
目次
そもそも安心R住宅とは
安心R住宅とは平成29年から国土交通省の告示により創設された制度で、国が登録した工務店、宅建業者、グループなどが中古住宅に対して一定の基準を定め、物件がその基準を満たせば「安心R住宅」として認められ、中古住宅の広告に対して安心R住宅の標章マークを付けられる、という仕組みです。
この標章は国に登録した工務店、宅建業者、グループなどがインスペクションやリフォーム工事を行った物件にのみ付与させるので、信頼度は非常に高いと言えるでしょう。まだまだ「安心R住宅」という言葉を聞く機会は少ないかも知れませんが登録団体は年々増えてきており、安心R住宅の標章がついた物件が増えれば増えるほど物件選びがより行いやすくなっていくと考えられます。
安心R住宅のメリット
安心R住宅は以下の事をメリットとして謳っています。
- 中古住宅の「不安」を解消できる
- 中古住宅の「汚い」を解消できる
- 中古住宅の「わからない」を解消できる
住宅を購入する際に「この建物なら安心して住める」と判断するための材料としてどのような情報が必要でしょうか。それは住宅の「コンディション」に関する情報であり、雨漏りは起きていないか、床下に水漏れやシロアリ被害などの不具合はないか、耐震性能に問題はないか、などです。近年のホームインスペクションの普及により、そういった情報は住宅を購入する前に容易に入手できるようになってきました。
しかし中古住宅に関しては依然「安心して住むことができない」というものがたくさんあるのが現状です。
例えば、構造の不具合に関してインスペクションでは「現状に指摘事項があるかどうか」を調べることはできても、「過去に不具合が起きたことはあったのか」「これまでに修繕やメンテナンスはどの程度行われてきたのか」という情報を調べることはできません。
設備についても「不具合があるかどうか」という事を調べることはできますが、「省エネの観点からの性能はどの程度あるのか」、「保証はまだ残っているのか」などについては調査項目として義務付けられているわけではなく、そういった情報が手に入るかどうかはあくまでも売り主次第という状態です。
そういった問題を解決するために登場したのが「安心R住宅制度」です。ここからは、安心R住宅の3つのメリットである「不安」「汚い」「分からない」を解消する仕組みについて具体的にご紹介していきます。
中古住宅が抱える「3つの問題」
先ほど中古住宅はホームインスペクションだけでは買い主は安心して購入に踏み切れないこともあるとお話しましたが、そもそも中古住宅がいい印象を持つことができない要因は大きく分けると次の3つの問題が原因ではないかと思います。
「不安」
「汚い」
「わからない」
1つ目は「不安」、中古住宅は建てられた年代により耐震性能も異なりますし、長年使用されてきたことにより設備が老朽化してしまっていないか、不具合が発生していないかなど新築住宅に比べて不安に感じる点が多いはずです。
2つ目は「汚い」、やはり別の人が使っていたものではあるので、内装、外装、設備などが汚れてしまっているのではないかと思われる方は多いのではないでしょうか。特にトイレや浴室などの水回りはそのように考えておられる方が多いと思います。
3つ目に「わからない」見学やチラシに書かれている情報だけで手に入る購入のための判断材料は限られており、「これだけの情報では購入に踏み切っても大丈夫なのか判断できない」と思ってしまう事もあると思います。
中古住宅にはどうしてもこういったイメージがつきまとうことになります。しかし逆に言えば、これらのイメージを払拭することができれば、中古住宅であったとしても安心して購入に踏み切る事ができるでしょう。安心R住宅のメリットは、中古住宅のそういったマイナスなイメージを払拭することができるという点にあります。
安心R住宅の3つのメリットの具体的な取り組み
ここからは冒頭でもご紹介した安心R住宅の3つのメリットについて、具体的にどのような取り組みが行われているのかをご紹介していきます。
安心R住宅のメリット①:「不安」を払拭
安心R住宅は以下の要素が明確となっています。
・耐震性に問題がない
・構造上の不具合や雨漏りがない
1つ目は「耐震性に問題がないこと」、やはり地震大国である日本で安心して暮らすには耐震性に対する安全の確保は必要不可欠です。建築基準法の改正により耐震性能の基準が変わる以前に建てられている家だったり、過去に地震が発生した際に耐震性能が低下している可能性がありますので、安全が確保されているかを確かめることはとても重要です。
2つ目は「構造上の不具合や雨漏りがないこと」、どんなに立派な家でも基礎や屋根などに不具合があれば建物は長持ちしないので、そういった部分に問題がないことを証明することもやはり必要不可欠です。また、マンションの場合は経年で不具合が発生しないようにするための適正な「共同住宅の管理」が行われているかを
・「管理規約」や「長期修繕計画」などの書類の有無
・買い主に対して公開しているか
という点でチェックをします。
安心R住宅のメリット②:「汚い」を払拭
中古住宅の「汚い」を払拭するための取り組みとして、内装や外装などの見た目について一定の基準を定め、それを下回るようであれば
・リフォームを実施
・リフォームに関する提案書の提出
・住宅購入者の求めに応じてリフォーム業者のあっせん
などが行えるようになっています。また、家の状態を買い主が正確に知ることができるよう、通常のリビングや外観といった大まかな写真だけでなく水回りの汚れ具合や外壁の状態、クロスやフローリングの使用感がわかるような写真も閲覧できるようになっています。
安心R住宅のメリット③:「わからない」を払拭
「わからない」というイメージを払拭するために、決められた書類について、しっかりと保管されているかどうかを明示し、買い主の希望に応じて情報を開示できるようにしています。書類には様々なものがあり「住宅性能評価に関する情報」「建物の維持や修繕の実施状況の記録」「給排水管や設備の保証書」「省エネ設備に関する情報」などについて該当する書類が手元に存在するかどうか買い主に提示するようになっており、買い主の求めに応じてそれらを開示できるようにもなっています。
安心R住宅を購入するための手順
安心R住宅を購入するためには
1.国土交通省のホームページで安心R住宅を取り扱う事業者団体を調べる
2.それぞれの事業者団体がどのような基準を設けているかを調べる
3.気になった事業者団体に所属する不動産会社に相談する
という手順を踏む必要があります。
不動産会社が所属する「事業者団体」についてもう少し詳しく説明をしましょう。「安心R住宅制度」を創設したのは国土交通省(国)ですが、国はこの制度を推進したいと名乗り出た事業者団体(一般社団法人等)の審査・登録を行います。
各事業者団体の事務局は先ほどご紹介した「汚れに対するリフォームの基準はどうするか」「情報を開示できる書類はどのようなものを用意するか」といった、事業者団体に所属する不動産会社が安心R住宅の標章を使用する際のルールを独自に設定します。
まずはどのような事業者団体が存在するのかを調べ、その団体に所属する会員の不動産会社に相談するという流れで中古住宅を探しましょう。
なお、基準とする項目や付加価値の内容は各事業者団体が独自に決めるものですので、各々の団体の基準の特徴をあらかじめ知っておくことも大切です(もちろんその基準で問題がないか最後に判断するのは国なので、どの事業者団体もある程度の品質は保証されています)。
登録事業者の一覧名簿は、国土交通省のホームページで公開されています。
まとめ
安心R住宅のメリットや、安心R住宅の物件を調べるにはどうすればいいかについてご紹介してきました。中古住宅は、新築住宅に比べてやはり様々な要因があり購入に踏み込めない事が多いと思います。しかし、中古住宅であっても構造がしっかりしており、管理も丁寧に行われてきた物件ならば新築住宅と変わりなく住むことができますし、いい条件の物件を見つけるチャンスは決して少なくないはずです。
今回ご紹介した安心R住宅制度のようなサービスをうまく活用して、自分に合った物件選びをより安全に、より快適に行っていきましょう。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。