e-LOUPEの旬ネタコラム
- 中古戸建て
実は重要!ホームインスペクションでの「設備の調査」とは?
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
ホームインスペクション(住宅調査)の重要な調査箇所に「設備」があります。
住宅の雨漏り等を気にされる方が多い一方、あまり意識されることのない設備関連。
新しい住まいにスムーズに住み始めるためには設備の調査が欠かせません。
今回はホームインスペクションでの設備調査に関して詳しくお話していこうと思います。
目次
ホームインスペクションの設備調査でわかること
問題なく使えるか
ホームインスペクションの設備調査では
- 水回り
- 換気扇
- ガス設備
などを中心に確認して周ります。
新築でもこういった箇所での不具合は起こり得ますし、特に中古住宅では「売った時は問題なくても買い主が住み始めた頃には不具合が起きていた」というケースがよくあります。
- 床下の排水管の接続部分からの水漏れ
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水漏れは床下で発生している場合も
各所の水が流れるかどうかなどは買い主の方もチェックする事が多いと思いますが、排水管の接続部分から水が漏れている場合など床下部分での不具合はご自身で確認するのはなかなか難しいかと思います。
トイレの排水なども流してみると排水管に問題があり逆流する場合や給湯器を作動させてもお湯が出ないこともあります。
- 換気扇
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吸気しない換気扇。音だけで判断はできない
換気扇の吸気確認や動作確認に関しても、スイッチを入れたら機械が動いてプロペラが回っているし使える!と考えるのは早計です。
新築住宅で時々見かけることとして、ホコリが入らないように付けられている養生がそのまま残っている状態で設置されてしまったケースや、浴室換気扇のダクトが天井裏を覗いてみると外れていて吸った空気が天井内に排出されていたこともありました。
また中古住宅では以前の持ち主の使い方にもよりますが油でギトギトになっており吸気力が著しく低いこともあります。
- ガス設備
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また給湯器関連のトラブルはよく耳にします。
「追い焚きが使えなかった」や「作動させたのにすぐ止まる」という場合は給湯器自体に寿命が来ている可能性があり、交換を検討しなければならないかもしれません。
ちなみに新築物件では引き渡し前の段階でガスが開栓しているケースはあまりなく、給湯関連やそれに連動した床暖房設備などについてもほとんど調べることができない場合が多いです。
もし全てを確認する場合は施工店にガスの点検も行いたい旨を伝えて、一時的に契約してガスを開栓して貰わなければなりません。
しかしやはり中には「内覧会に合わせてお客様のために繋いでおきました!」と事前に施工店が気を利かせて繋いでくれていることもあります。
そういった物件なら買主も安心して物件を購入できると思います。
買い替えの時期や予算の見当がつく
不具合の状況によっては「買い替えや修理が必要だな」となってしまうこともあるかもしれません。
新築住宅であれば施工店が対応してくれるかもしれませんが、中古住宅であれば「現況でのお渡しです」となる場合が多く、不具合に関する買い替えや修理などはご自身で負担する可能性があります。
あらかじめ「こことここを直す必要があるな」ということがわかっていれば、もし自身で直すとしても必要な予算を正しく把握しておくことができます。
また調査時にはこの程度の不具合はどの程度の費用感で直せるのか、他にも直した方がいい箇所はあるかというアドバイスも貰えます。
訪問販売業者に騙されにくくなる
買い替えの目安は特に中古住宅では特に重要で、住み始めて直ぐにやってくる訪問販売の甘言に騙されなくて済むメリットが大きいと思います。
急にやって来る訪問販売業者は詐欺や悪質な物が非常に多いです。
ちょっとした不具合を大げさに大きく伝え、さも今すぐ直さないと大変なことになると脅して来る場合があります。
もし詳しい知識がないと「これは問題なのかも…」と深刻に考えてしまうかもしれません。
しかし事前調査を行っていればそういった悪質な業者が来ても「前回の調査の際は問題ないと言っていたのに怪しいな」と考えることができるため追い返せると思います。
しかし一番いいのは全く知らない急に来た業者は家や土地に入れさせないことが一番重要です。
本当に悪質な業者であれば最悪の場合、壊れていない箇所を壊されることもありますので気をつけましょう。
ホームインスペクションでの設備調査の注意点
設備調査は”別料金”の場合もある
ホームインスペクションにおいて設備は「必ず調査しないといけない箇所」ではないことから、調査の内容や料金体系はインスペクション業者によりまちまちです。
最初から基本メニューに含まれている場合もあれば、調査箇所をオプションで指定している場合もあります。
依頼予定のインスペクション業者に
- 設備はどこまで調査してもらえるのか
- どれくらいの費用が必要なのか
を確認するようにしましょう。(私としては生活に直結する設備関連の調査をオプションにすることに非常に違和感を感じてしまいますが…)
電気・ガス・水道の開栓は調査に不可欠
電気・ガス・水道が使えるかどうか(新築では電気・水道のみとなることが多い)はホームインスペクションに大きな影響を与えます。
特に水道が使えないと
- 水回りの漏水
- 湿気によるカビや腐朽のリスク
- 床下の配管水漏れ
などの重要な調査ができなくなりますので、事前に必ず使える状態にしておきたいところです。
もし調査物件が空き家の場合はあらかじめ売り主に開栓の手配をお願いしましょう。開栓は時間を指定出来ない場合もありますので余裕をもって手配しておくことをおすすめします。
購入後に実は床下の奥で配管が破損していて水溜りができていたなんてこともあります。床下の進入調査も合わせて検討しましょう。
新築で水まわりの調査前に必ず確認すべきこと
ごく稀にですが外構工事が終わっていない物件で、汚水本管に接続されていないのに「水を流していいですよ」と伝えてくる仲介業者がいます。
これはどういうことかというと、水を流す先が行き止まりになっている状態で水を流すことを意味します。
行き止まりの排水管に水を流し続けるとどうなるのか。
まず汚水配管から一番近い1階の排水管(トイレだったりキッチンだったり)から水が溢れ出します。
床が一面水浸しになってしまい、床材が反ったり、カビや壁紙のふやけなど大規模な交換工事が必要になる場合があります。
大体の場合は施工店から「絶対に水は流さないでくださいと」伝えられますが、伝達ミスや知識不足で流して大丈夫と判断する方もいらっしゃるようです。
完工しているかどうか事前に必ず確認しておくようにしましょう。
ちなみに私は調査時に汚水配管の接続に関して確認した際、曖昧な返事をする業者の場合は万が一を考慮して通水確認を見送るようにしています。(引き渡し前の住宅をカビまみれにはしたくありません…)
まとめ
今回はホームインスペクションにおける設備調査についてご紹介してきました。
ホームインスペクションというとこちらのページで紹介しているような、建物の外壁や屋根など、そういった場所の調査ばかりが注目されがちです。
しかしそれと併せて、設備の調査をしっかりと行なっておけば円滑に新しい建物に住み始めることができるということを覚えておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
事前にしっかりと調査をしておくことで、住み始めてからの
「あれ?これ使えないな・・・」
「水が漏れている・・・」
「何か異音がする・・・」
といったトラブルを防ぐことができます。
もちろん新築住宅ならば保証はあると思いますが、それでも手間がかかることに変わりはありません。
事前の確認は、「必要な時に使えない」トラブル防止のためにとても大切です。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。