e-LOUPEの旬ネタコラム
- 新築戸建て
建売住宅はなぜ安い?お手頃な理由と注意すべきポイント
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの岩井です。
今回は建売住宅と価格の関係についてお話ししていきます。
建売住宅は安いと考えられることが多いです。
なぜ安いのか、何かデメリットはあるのか、購入時にはどのようなことに注意すべきなのか、詳しく確認していきましょう。
目次
設計にかかるコストを削減しやすい
建売住宅が安い理由の1つに「人件費を削減しやすいこと」があります。
本来、建物の設計は慎重に行われるのが一般的です。
施主とのやり取りも何度も行う必要があるでしょうし、途中で再設計が必要となることもあると思います。詳細な設計図がいくつも必要となる場合もあるでしょう。
しかし建売住宅は設計がある程度規格化されているため、仕様書や詳細図面をその都度作成するのではなく標準仕様書として多くの物件で採用します。
そのため時間をかけなくても設計を行うことが可能であり、その分人件費を安く抑えられるのです。
ちなみに仕様書が同じといっても造りには細かいバリエーションがありますし、建築資材にも様々なカラーリングがあって色合いで雰囲気がかなり異なります。
そのため多様性はしっかり持っており、どの家も一緒という事はあまり無いです。
施工にかかるコストを削減しやすい
標準仕様書の存在は設計の手間を減らすという意味合いもありますが、施工の手間を減らす事にもつながります。
例えば建築資材は1間(1820㎜)で用意している事が多いですから、これをたとえば1500㎜にするとなるとその分をカットする必要がでてきます。
それであれば規格のサイズで設計していけば半端な材は出なくなるため、その分施工の手間が減らせます。
コストを重視する住宅はそういったことが考慮された上での設計となっています。
土地や建築資材の大量仕入れ
建売住宅は一棟だけではなく、複数棟の住宅を同時に販売するケースが多いです。
これは広い土地を安く仕入れて一軒一軒の建物の大きさに分割し、建物を建てて建売住宅として販売しているからです。
元々は田畑や山林だった場所を安く買い取って家を建てるための土地として造成する場合もあります。
また建築にかかる資材を大量に仕入れたり、自社専用の資材を開発注文するなどして一軒あたりの資材コストを安く抑えることができます。
こうやって多くの住宅を建設販売している業者はパワービルダーと呼ばれることもあります。
管理費の削減や工期の短縮
住宅の建築は現場監督や施工管理者による管理のもと行われます。
具体的には、業者の手配は整っているか、工事の進捗に遅れは出ていないか、施工は設計通りに行われているかどうか、などです。
建売住宅ではこれらの管理にかかる人件費が削減されていることが多いです。
同じ分譲地で隣同士の建売住宅の施工管理を1人の現場監督に担当してもらえば、その分人件費を削減することができます。
また、建築材料も工場で作られた時点である程度完成されたパーツとなっていることが多く、それも現場での作業を最小限にして工期の短縮と人件費の削減につながる要因となっています。
また副次的な効果として、足場や仮設トイレといったレンタル用品にかかる費用も全体の後期が短縮されることで結果的に低コスト化に繋がります。
性能を必要最低限に抑える
住宅の部材は窓や壁といった目立つ箇所から断熱材や構造部材のような見えない所まで、それぞれの部位ごとの「グレード」が存在します。
たとえばユニットバスですと同じ大きさでも機能性の違いやモニター等のオプションで大きく値段が変わります。
ローコストで設計された住宅ではそれら1つ1つに上級グレードが採用されているという事はまずありません。低グレードで必要最低限の性能を確保するものが採用されています。
安い建売住宅で注意すべきこと
不十分な設備
安さを重視した建売住宅は必要最低限の完成した直後の建売住宅は悪い言い方をすると何もない状態です。
たとえば窓自体はしっかりと設置されていても、カーテンレール、網戸、シャッター等は後から取り付けなければいけない事もあります。
どの様な物を設置するかを自分で選択できるというメリットもありますが、無かったら困るものが取り付けられていなかったり、取り付けには別途費用が必要であることから想定外の出費となってしまう可能性もあるので注意が必要です。
事前に必要なものをリストアップしておくことをおすすめします。
低グレードな仕様が原因で感じる物足りなさ
安さを重視した建売住宅が低グレードな仕様となっているのは購入前から予想がつくものではあると思います。
しかし見落とされがちなのが目に見えない場所のグレードです。
たとえば断熱材のような部材の性能が不十分だと、特にマンションから引っ越された方は「家が寒い・・・」と感じやすいようです。
そのことが原因で後々住みにくさを感じてしまう可能性もあるので注意が必要です。
一応近年では、住宅の天井・床下断熱材や内窓の設置といった既存住宅の断熱改修が世間的な脚光を浴びていますので、時間をかけて改修していくという考え方もありかも知れません。
いずれにしても、見えない箇所の性能に気を配ることでより住み心地のいい住宅になっていくと思います。
行き過ぎたコスト削減の弊害
安いということは何かを削っていることの裏返しでもあります。
それが許容の範囲であれば問題ないのですが、もし行き過ぎたコスト削減が行われていた場合、そのしわ寄せが不具合という形で買主の元にもやってくることになります。
昨今ネットやテレビ、週刊誌などで話題に取り上げられる「欠陥住宅」も、コストの削減により管理が行き届かなくなってしまったり、突貫工事を強いられることになってしまった結果出来上がったというケースは少なくありません。
安さだけにとらわれるのではなく、目の前の建売住宅が本当に安心して購入できる建物どうか、自分が求めている物があるのかどうか、慎重にチェックしておく必要があります。
もし不安に感じるようでしたら、住み始める前にホームインスペクションのようなサービスを活用されるのがいいと思います。
まとめ
今回は建売住宅が安い理由についてご紹介していきました。
基本的な考え方としては建築にかかる経費を最低限にすることで買主の出費も抑えようというものです。
元々住宅は非常に高価であることから、少しでも安ければ助かることは多いと思います。
しかしやはり安さだけを考えていては元も子もありませんので、相応のチェックを行われることをおすすめします。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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