e-LOUPEの旬ネタコラム

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安心して建てるために。注文住宅で見逃せない注意ポイントとは?

2023.11.17
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

今回は注文住宅で注意すべきポイントについて、住宅診断士としてのこれまでの経験も踏まえながらご紹介していきます。

見積もりがいい加減な施工店は避ける

誤解を恐れずに言いますと住宅の欠陥は起こるべくして起こることだと思っています。

欠陥住宅のほとんどは手抜き工事から生まれます。

ではなぜ手抜きが起きるのかというと、いきすぎたコスト削減や現場監督による確認不足、職人自体の腕がそもそも悪い場合などが主な原因として考えられます。

住宅を安く買えることは買主にとってはありがたい話です。

しかし安さの裏では職人や現場監督の人件費が切り詰められていることや、他の現場では採用されないような施工会社が安い金額で仕事を請け負っていることも十分考えられます。

値下げの相談をした時にあっさりとOKをくれたり大幅な値引きをしてくれたとしたら、その影響が巡り巡って欠陥住宅という形で帰ってくるかも知れません。

見積もりがいい加減な施工店は避けることをおすすめします。

担当者にちゃんとした提案力があるか見抜く

もし担当者がニーズを汲む力や商品知識に豊富で、

「それであればこういった物がおすすめですよ」
「新商品でこういう物がありますよ」

といった提案をしてくれる人であればとても頼りになります。

しかし中には増額になることしか提案せず、導入を検討している物のデメリットなどを十分に説明しないような担当者も残念ながら少なからずいます。

高額になりがちな注文住宅の費用をどうすれば抑えられるのか、こういうのが欲しいという要望に対してメリット・デメリットをしっかり説明できるのか。

これらは担当者の実力次第です。

また、細かく確認をしてくれるマメな担当者であれば施工後もトラブルが少ない印象があります。

もし担当者のことを「いい加減だし施工にも詳しくなさそう・・・」と感じたときは担当替えができないか確認してみましょう。

「一式」が多い場合は明細を細かく確認

もし見積もり書の明細項目が「一式」と表記されているものが多い場合は注意が必要です。

材料費などが明確でない場合に起こりうるリスクとして、「見積もりが実際の費用よりも多すぎる」「見積もりが実際の費用よりも安すぎる」となることがあります。

前者はシンプルに損ですし、後者では手抜き工事が起こりやすくなります。

何がどこまで含まれた金額なのかはしっかり確認しておくようにしましょう。

もし返事が曖昧で詳細が分からない見積もりを作るような会社は実際の工事も大雑把な可能性がありますので要注意です。

余裕があれば契約前に建築士や弁護士などの専門家に契約書の内容を確認してもらうのもいいと思います。

担当とのやりとりは証拠として残る形にしておく

もし万が一「思っていたのと違う」となった場合に明らか契約の内容と違えば修繕をしてもらうことができます。

厄介なのは寸法や形状が打ち合わせと違っているものの設計図の通りにはなっている場合です。

そうなると言った言わない問題に発展して面倒なトラブルになりかねないので注意が必要です。

図面や契約書は施行前に時間をかけて確認することをおすすめします。また、担当とのやりとりはメールを主体にして、口頭で話すときも会話を録音して記録しておくことをおすすめします。

見えない場所の施工はなるべく立ち会う

欠陥住宅は柱や土台や梁などに原因があることも考えられます。

建築中はできる限り現場に足を運んで写真や動画を撮っておくなど記録を残しておくとよいでしょう。

確認しておいた方がいいのは基礎の配筋や断熱材の施工、壁内の筋交の有無などです。

一度内装工事をしてしまうと建物の内部の目視による確認はできなくなります。

契約時や地鎮祭の時に工程表を受け取れるはずですので、それぞれの工事の時に現場を見学しておくと安心です。ただし、施工店によっては現場見学をNGとしている場合もあるので事前に確認しておきましょう。

建物で事前に見ておいた方がいい箇所

ビス忘れやシーリング部の隙間


新築住宅で必ずといっていいほど指摘事項として見かけるのは外回りやバルコニーのビス忘れ・シーリングの隙間です。

防水部分の施工不良は雨漏りのリスクを高めます。軽微なものであってもなるべく見過ごさずに補修しておきたいところです。

床鳴りやきしみ

新築住宅の床は床材の伸縮の影響で床鳴りが発生することもあります。

基本的にはいずれなくなりますが住み始めてから一年ほどが経ってもなくならない場合は施工不良が疑われます。

一度施工会社に確認してもらうのがおすすめです。

基礎のひび割れや床の傾き


地盤には建物の重さに耐えられるだけの強さが必要ですが、適切な地盤改良が行われてなかったり地盤沈下を防ぐための対策が不足していると新築でも地盤沈下が起こりえます。

壁に大きなひび割れが発生している、床が傾いている、ドアの建て付けが悪い

もしこういった症状が発生していた場合、地盤沈下が疑われますので正確な計測を外部の専門家に委託するのがいいと思います。

建物が揺れを感じやすい

柱と柱の間には強風や地震などの揺れに耐えるために筋交が斜めに入れられています。

しかしあるべきところに入っていなかったり方向が間違えていたりすると強度不足で横からかかる力に弱くなり、万が一の地震で建物に影響が出る可能性があります。

もし強風での揺れが気になる場合は確認してもらいましょう。

点検口の内側


床下や天井の点検口は一度外して中を見ておくのがいいと思います。

私の調査でも換気扇ダクトが繋がっていないということがありました。

住み始める前にちゃんと直してもらうためにも、事前に確認しておいた方がいいでしょう。

ちなみにもし点検口の内側で不具合が発生していた場合、やはり一度専門家に建物を隅々まで見てもらった方がいいかも知れません。

常識的な施工店であれば担当自らが少なくとも点検口の周り程度は内覧会前に確認を行うものです。

それすら行われていないということは、やはりそのさらに奥では別の指摘事項があることを疑わざるを得ません。

さいごに


今回は注文住宅について、トラブルを防止するために注意すべきポイントをご紹介してきました。

やはり注文住宅であっても人が建てている以上、不具合やトラブルは起きるものです。

なるべくリスクを減らし、気持ちよく住み始められるようにしたいところですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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