e-LOUPEの旬ネタコラム
- 新築戸建て
購入時にうっかり見落としがちな”長持ちしない家の特徴”とは?
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの岩井です。
どんな家でも時間が経つにつれて劣化が進み、何かしら問題が発生するものです。
しかし劣化の”しやすさ”はその家が建てられた時点である程度運命付けられてしまっている部分も少なからずあります。
今回は長持ちしない家の特徴についてお話ししていきます。
目次
立地環境が悪い
建物の劣化の進行は、その立地環境に大きく左右されることがあります。
以下に、建物の劣化に影響を与える主な立地環境の要因をいくつか挙げてみましょう。
地盤の強さ
地盤の弱さは基礎に影響を与え、クラックや家の傾きが生じる原因となります。
特に元々の地形が丘陵のような場所を平たくならして開発した土地は地盤がどうしても弱くなる傾向があります。
また、砂浜や川のそばの家は災害時に液状化現象が発生するリスクが高くなります。
台風や水害
台風による強い揺れは建物の接合部の負荷となりますし、外部の建材や屋根にも損傷が生じやすくなります。
特に水害が起きる地域では基礎周りの地盤が弱くなりやすく、強風の影響も受けやすくなります。
今は地域のハザードマップなどが各市区町村で簡単に確認できるため、自分の家はどのような災害に注意が必要なのか、また避難先はどこなのかを明確にしておくと安全ですね。
樹木や植生
樹木や植生は建物にとって脅威となる場合があります。
たとえば建物周辺に大きな木がある場合、根の成長が基礎に影響を与えて建物の安定性を左右することがあります。
建物外周の蔦類や木の枝は外壁の防水層を突き破って内部に進入したり、落ち葉や花弁が雨樋をつまらせる原因となります。
付近で竹が繁茂していると床下から床を突き破り竹が伸びてくることもあるようです。
外壁沿いに多くの樹木が生い茂っていると、葉が擦れるなどして壁面が汚れるといった事も起こり得ます。
空気中の湿気や汚染物質
恒常的に湿度の高い地域では建物の木材や金属の腐食や劣化を早めてしまう可能性があります。
また、大気中の汚染物質は建材に付着して外観や機能性に悪影響を与えることがあります。
代表例が海の近くです。海の近くでは内部の鉄筋を守る被膜が塩分によって劣化がしやすいことから鉄筋の腐食リスクが高いです。
外の空気が湿気を含んでいるため窓を開けただけの換気では室内に湿気が入り込んでかえってカビの原因になる事も考えられます。
機械式換気の導入や海風に強い部材の採用、こまめな塗装などによる建物保全は必須と言えるでしょう。
建物の形状が悪い
建物の形状やデザインも、劣化の進み具合に影響を与える要因の一部です。
いくつかの例を挙げてみましょう。
屋根の勾配と排水
屋根の形状や勾配が不適切だと雨水や雪が溜まりやすくなります。
また溜まった水を放置していると防水層が劣化しやすくなりますし、水が建物に浸入して劣化やカビが発生するリスクが高くなります。
雪が多量に溜まってしまうと雪の重みで屋根が変形することもあるため場所や地域によってや雪止め金物をあえて採用しないなどの特別な措置が必要となる場合があります。
窓や通気口の配置と通気
通気が適切に確保されていないと湿気が建物の内側にこもりやすくなり、壁の内部の木材が腐ったり、クロスの裏側にカビが発生する可能性が高くなります。
またしばらく開けていない開口部は、鍵や窓自体が固着してしまうことや枠材に劣化が生じていても気付けないことが多いです。
通気も兼ねて部屋の窓は1年に1回程度は開けることが望ましいですね。
建物の形状と風の影響
建物の形状が風の影響を受けにくいように設計されているかどうかは重要です。
風による圧力が建物の特定の部分に集中してしまうような造りだと、劣化や構造への負荷が増加します。
軒が長くせり出している住宅は特に風の影響を受けやすいため注意が必要です。
構造の複雑さと保守性
建物が複雑な形状をしている場合、人間のアクセスが難しくなってしまいがちです。
そうなるとメンテナンスが難しくなったりメンテナンスにかかる費用が極端にかさむことから、万が一の際に修繕が遅れてしまう可能性があります。
床下や天井小屋裏の点検口が無い建物もメンテナンス性が悪く、結果として劣化事象を確認できない事があります。
さいごに
今回は長持ちしない家の特徴についてお話ししてきました。
どんな家でも必ず経年で劣化は発生します。
もしこれからお家を建てる時は、長く住めるかどうか、修繕コストがかからないかどうかも大切にしたいポイントだと思います。
中古住宅をご購入の際も、こういった部分を考えながら、建物に予想外の劣化が起きていないか、慎重に判断してみるといいかも知れませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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