e-LOUPEの旬ネタコラム
- 自宅向け
ホームインスペクションで見る「劣化すると危険な部位」とは?
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの岩井です。
今回は住宅の「劣化すると危険な部位」をホームインスペクターの立場からご紹介していきます。
要確認!劣化すると危険な部位
床下
意外と早いタイミングでメンテナンスが必要になるのが床下です。床下のメンテナンス周期は基本としては5年毎となります。
躯体となるコンクリートや木部自体が数年では大きく劣化してしまうことはありません。
しかし重要な問題として白蟻の対策があげられます。白蟻から土台や大引きなどの建物を支える構造体を守るためのメンテナンスが大切となります。
配管の水漏れや土台の腐朽があるとシロアリのリスクも大きくなるので、床下に異常がないか確認すると同時に、シロアリの侵入や木材の腐朽を防ぐための薬剤散布を行うことが大切です。
雨樋
一見地味で目立たない存在の雨樋ですが、外壁を雨水のたれ流れから守り劣化を防ぐ大切な役割を担っています。
雨樋は主に塩ビ製の配管同士がつながっているので経年で接合部が劣化したり、雨樋を支えている金具がふと外れてしまうケースがあります。
軒樋は周辺環境の影響を受けやすく、隣地が公園になっていたり街路樹があったりと樹木が多い場所では新築から数年で樋が詰まってしまうケースも。
樋の詰まりは樋自身の劣化を早めたり、雨水が思わぬところに流れて外壁の劣化を誘発する原因となります。
もし詰まりや破損や外れを見つけた時はその都度補修を行いましょう。
雨が降っている際に外から雨樋が溢れていないか確認してみるのがおすすめです。
外壁
外壁も屋根と同じく直射日光や雨漏れなど様々な負担がかかる場所です。
近年多く採用されているサイディング外壁の場合、接合部のシーリングの劣化が先に現れてきます。シーリングの材質、施工品質、陽当りによって劣化の進行速度は異なりますが、早ければ7年ほどで劣化してきます。
モルタルやタイルなどの場合は経年で浮きや剥離や破損が生じたり、表面の塗料が劣化してチョーキング現象と呼ばれている白い粉が壁の表面に発生するようになります。こちらは10~15年ごとのメンテナンスが標準的です。
いずれにしても劣化を放置すると雨漏れとなり、建物内部へのダメージにもつながるので定期的なメンテナンスを行いましょう。
屋根
屋根は最も外界からの負担を受ける部位です。
雨風、紫外線、夏の暑さ、冬の寒さなどのダメージは年々蓄積されていきますし、台風といった強風での土ぼこり・飛来物、雹による破損といった気象現象による影響も受け続けます。
しっかりメンテナンスを行い健康な状態で保ちましょう。
屋根の種類は大まかに瓦屋根・スレート屋根・金属屋根に分類されます。
昨今主流のスレート屋根は昔ながらの瓦屋根に比べてこまめなメンテナンスが必要で、10年を目安に表面塗装が必要となります。また、全体の割れやずれが多くなった時は葺き替えを行います。
屋根はどうしても普段からの確認が難しく、屋根面が破損していた場合、天井に雨漏れが生じて初めて気が付いたというケースもあります。
大きな被害にならない為にも定期的な点検が欠かせない部位となります。
水回り
キッチンやトイレなどの水回りはその家の住人みんなが毎日使うことから、劣化も早い傾向にあります。
設備機器には「設計標準使用期間」が定められており、たとえば給湯機器だと10年である事が多いです。
設計標準使用期間を超えてもすぐに壊れるわけではありませんが、シンク下の浮きゴムやパッキンが劣化による水漏れ、詰まり、腐食といった不具合が発生するリスクが大きくなります。
やはり節目として点検や補修を実施したいものですね。
まとめ
今回は住宅の劣化すると危険な部位について紹介してきました。
建物の劣化というものは出来上がった瞬間から進行していくものです。そのため5年10年といった、節目節目でしっかりと点検をして早期発見に努める事が重要です。
どこの部位でも共通して言えるのは、「表面の劣化を放置して建物の内部が傷んでしまうとそれを修繕するのにメンテナンス費をはるかに上回るコストがかかってしまう」という事です。
中古住宅を購入する場合は、築年数だけでなく、これらのメンテナンスが過去にしっかりと行われてきたのか、修繕の履歴も確認するようにしましょう。
ホームインスペクションでは住宅に指摘事項がないかどうかを見て回りますが、より詳しい内容はこちらのページでも解説していますので、興味を持っていただけたようでしたら是非一度ご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。