e-LOUPEの旬ネタコラム
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耐震性能を調べるには?注意すべき点をまとめてみた
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの鳥居です。
日本は地震大国です。東日本大震災、熊本大地震、新潟中越沖地震、阪神淡路大震災など、これまで多数の死者を出す地震が何度も起きてきました。
住宅の耐震性能を高めることは日本で住むうえでは必要不可欠と言っていいでしょう。にもかかわらず1人1人の住宅の耐震性能に関する認識はまだまだ不十分であると思います。
大切なのは「今の家は大丈夫か」と住まいの安心をまずは自分自身で確かめようという意識を持つ事ではないでしょうか。
今回は専門家でなくてもチェックできる耐震性能について注意すべきポイントについてまとめてみました。
目次
耐震診断でチェックすべきポイント
築年数
まず見なければいけないのは「昭和56年以降に建てられた建物かどうか」という点でしょう。日本の木造住宅の耐震性能は昭和56年の耐震基準制定以前と以後とでは大きく異なります。もし昭和56年以前の建物であったならば、耐震補強工事を行っているかどうか確認しましょう。
過去に台風や水害、地震を経験している
台風や地震などにより強い揺れを受けると、建物の接合部に負荷がかかります。また水害で基礎周りの地盤が弱くなると、揺れの影響を受けやすくなります。購入を検討している地域が台風や水害に遭いにくい場所かどうか注意した方がいいでしょう。
壁の多さ
地震や台風などの横から加わる力への強さを決めるのは建物の「壁の多さ」です。構造にかかわる壁が多い建物程耐震性能も上がると言われています(柱はあくまでも建物の重さを支えるためのものなので横からの力に対してはあまり強くありません)。
また、同じ壁でも窓などの開口部の有無で強度は大きく変わります。角地の1方向、または2方向で壁がない建物などは特に注意が必要です。
地盤の強さ
震度5以上の地震が発生すると、液状化現象で建物が倒壊する可能性があります。砂浜や川のそばの家は液状化現象のリスクが大きいので自治体によっては液状化現象の恐れがある地域を示した「ハザードマップ」を公開している都道府県もあるので、自分が住もうとしている地域の地盤はなるべく確認しておくようにしましょう。
隣地との高低差
元々の地形が丘陵になっている場所に家を建てるには平らな宅地を作る必要があります。そのためには、傾斜の上の方を切り(切土)、下の方に盛ります(盛土)。盛土の部分は元々の地盤に比べどうしても弱くなる傾向にあるので注意が必要です。
盛り土で高くなった地盤が崩れないようにするための土留めが鉄筋コンクリートや間知石で作られているか、土留めの高さよりも2倍以上離れたところに建っているか確認しましょう。
屋根の状態
屋根は雨風や直射日光の影響を多く受ける場所なのでその分劣化が進む速度も速くなります。また、建物の頭である屋根は重くなればなるほど地震の際に建物全体に及ぼす影響も大きくなりますので、瓦屋根などの重い素材を使っている場合は地震の影響を受けやすくなります。
屋根の勾配は急すぎると不安定になりますが、少な過ぎても雨漏りの原因となるので注意が必要です。
基礎の状態
基礎の中でも、建物の四隅や柱の真下などにのみ設置されている「独立基礎」は鉄筋コンクリートによる布基礎やベタ基礎に比べ耐震性能が低くなります。また、基礎のクラック(ひび割れ)は、必ずしも危険というわけではありませんが、クラックが複数カ所に入っている、水平方向に入っているなどの特殊な場合は、クラックが建物の強度に影響を及ぼしている可能性があるので注意が必要です。
平面の形状
住宅の耐震性を考えた時、平面を見た時に一番望ましい形は正方形もしくは長方形です。L字やT字形になっていたり、凹凸が多い建物は注意が必要です。(3尺以下の凹凸は無視しても問題ありません)
増改築の実施
構造の検討をしっかりと行った上での増改築は地震に対する建物の強度を高めることができます。しかし構造の事を考慮せずに安易な増改築を行うと逆に建物の強度を下げかねません。また、2階部分よりも上の増築を行っている場合は基礎の補強や1階の壁の補強も行われたのかどうか確認しましょう。
大きな吹き抜けの有無
大きな吹き抜けがある場合は地震で歪んでしまう恐れがあります。木造住宅の横から押される力に対する強さ(水平剛性)を決めるのは屋根と2階の床ですが、大きな吹き抜けがあるとその分床がなくなるので床の強さが低下してしまいます。
吹き抜けがある場合はまずは1辺の長さが4m以内であるか確認しましょう。これは木造住宅は通常4mの木材を組み合わせて作るため、1辺が4m以上の吹き抜けがあるという事は、木材を継がせて組み立てていると考えられるからです。
まとめ
建物の耐震性能に影響を及ぼす注意すべき項目についてまとめてみました。チェックすべき項目以外にも床下のシロアリ被害や小屋裏の雨漏り被害など、知らないうちに建物の強度に影響を及ぼす可能性があり、しかも自分では確認が難しい箇所もあります。住宅の購入後はしっかりとメンテナンスを行い、老朽化による耐震性能の低下を予防する事が大切だと言えるでしょう。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。