e-LOUPEの旬ネタコラム

  • 新築戸建て
  • 中古戸建て
  • 自宅向け

ホームインスペクション費用はどれくらい?価格による調査の違いを解説

2024.03.07
鳥居

WRITER

鳥居 龍人

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て株式会社テオリアハウスクリニックに入社。前職での現場監督経験から、施工から設計まで幅広い知識と経験を持つ。現在はその経験をもとに戸建て住宅のインスペクション業務に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。

こんにちは。e-LOUPEの鳥居です。

今回はホームインスペクション(住宅診断)の費用や料金体系について詳しくお話ししていきます。

建物ごとのホームインスペクション費用

ホームインスペクションの費用は物件の種類、大きさ、インスペクションの範囲、依頼する業者によって異なります。

マンションは一戸建てに比べてやや安価になることが多く、30,000円~80,000円程度で受けられることが多いです。

ただし、物件の広さや構造、診断の詳細度によって、これ以上の費用がかかる場合もあります。共用部分の診断は含まれず、専有部分のみの診断になります。

戸建住宅では50,000円~150,000円程度が一般的な価格帯です。ただし、物件の広さや構造、診断の詳細度によって、これ以上の費用がかかる場合もあります。

今回は戸建住宅のホームインスペクションにフォーカスして、費用の構成を詳しく見ていきましょう。

ホームインスペクションの費用の決まり方


ホームインスペクションの費用は大まかに、

  1. 基本料金
  2. オプション調査
  3. 物件の築年数
  4. 建物の広さや複雑さ

という、4つの要素により決まります。

基本料金

色々なインスペクション会社のホームページを見ると、費用が4~6万円程度であることが多いですが、よく見ると「○万円~」と表示されています。

これはその価格での調査があくまでも基本料金の範囲内であることを意味します。

基本料金に含まれる調査 傾斜の調査、屋根の調査(双眼鏡のみ)、基礎の調査など
基本料金に含まれない調査 床下や小屋裏への進入調査、高所カメラ、鉄筋探査、設備調査など

 

基本料金での調査は、主に建物内外の目視調査(床下や小屋裏への進入を含まず)と傾斜測定などを指します。

ただし目視調査のみであれば自分たちでもある程度は調べることが可能な範囲が多く、プロに依頼をする意義を感じにくいかも知れません。

鳥居
鳥居

最低限の確認で済ませたい場合は基本調査のみでもいいと思いますが、より詳細な調査を望む場合はオプションをつけましょう。

ある程度しっかりとした調査を実施すると、最終的な費用は約14万〜18万円程度になると考えられます。

なお、基本料金に含まれる調査項目は、国土交通省の「インスペクションガイドライン」に準拠しており、各インスペクション会社間でそれほど大きな違いはありません。

オプション調査費


ホームインスペクションのオプション調査として代表的な項目は、

  • 床下への進入調査(約3万円)
  • 小屋裏への進入調査(約3万円)
  • 高所カメラでの屋根調査(約2万円)
  • 鉄筋探査機を用いた基礎調査(約1万円)
  • 設備機器の調査(約2万円)
  • 調査報告書の作成(約1万円)

などです。

鳥居
鳥居

相応の精度を伴った調査とするには、これらをなるべく全て実施するのがオススメです。

床下への進入調査(約3万円)

床下への進入調査の費用は3万円前後です。

国土交通省のインスペクションガイドラインでは床下は「点検口からの”目視”による点検」で行うことになっています。

範囲

目視による点検は点検口周囲からペンライトなどで奥を照らしての調査になりますが、この方法では確認できる範囲がかなり限られてしまいます。

床下への進入調査を実施すれば奥まった場所で水漏れや構造部材の不具合などが発見されることも多々あるため、より信頼性の高い調査結果を残すことができます。

小屋裏への進入調査(約3万円)

小屋裏の進入調査の費用は3万円前後です。


床下同様、小屋裏調査も国のガイドラインでは点検口からの目視調査となります。しかし梁や柱などに遮られ奥まで覗くことが難しく、やはり正確な調査が行えない場合が多くあります。

小屋裏の奥の方で水染み跡や梁を固定する接合金物の緩みなどを発見することもあるため、正確な調査をするためには進入調査は欠かせないでしょう。

高所カメラでの屋根調査(約2万円)

棟金物を固定するための釘が無く板金が外れてしまっている

屋根の詳細検査にかかる費用は2万円前後が相場です。

屋根は建物を長持ちさせる上で非常に重要な場所であり、風雨による影響を受けやすい場所でもあります。

また、屋根の施工は屋根材の上に乗って行われるため、稀に材料に割れが生じていることがあったりします。

屋根を目視で点検できない

屋根調査は一般的に双眼鏡等を用いた目視調査や自撮り棒などで行われますが、屋根の形状や周辺の地形によってはうまく確認できない場合もあります。

高所カメラを用いた検査を行えば、屋根の見えにくい部分まで確認することが可能です。

ちなみに屋根調査はインスペクション会社によってはドローンを取り扱うところもあります。ドローンは周辺環境の制約が大きく調査自体が難しい場合が多いので、もし希望する場合は事前に業者としっかりすり合わせが必要です。

鉄筋探査機を用いた基礎調査(約1万円)

基礎内部の鉄筋調査にかかる費用はおおよそ1万円前後です。

鉄筋の間隔は建築基準法で300mm以内と決められていますが、配管の貫通部周辺や基礎の角部に近い箇所では間隔が乱れがちになる傾向があります。

もちろん、基礎の内部で鉄筋が設計図通りに組まれているかは建物の耐久性を考えたときにとても大切な問題です。しかし基礎の内部を目視では確認できません。

そこで役立つのが鉄筋探査機です。

鉄筋探査機は鉄筋に反応して音を出す装置で、これを利用すれば図面に記載されている通りの間隔で鉄筋が組まれているのかを確かめられます。

設備機器の調査(約2万円)

設備機器の調査費用の相場は大体2万円前後です。

住宅にはガスコンロやトイレ、換気扇といった設備が必要不可欠です。最近では感染症対策として洗面台が2箇所設置されているような住宅が増えてきました。

しかしこれらの設備機器は使用してみると水漏れを起こしていたり、作動しないというケースが多く見受けられます。

新築住宅でも水漏れや換気扇の排気ダクトが外れてしまっているケースもあります。

引き渡し前に設備機器の調査を行っておけば故障や予期せぬトラブルを防げるので安心です。

報告書の作成(約1万円)


簡易なものではなく、詳細な調査結果を記載した報告書作成の費用は1万円前後です。

簡易的な報告を無料で行い、追加写真や今後のメンテナンスに対する具体的なアドバイスなどの掲載を有料オプションとしているインスペクション会社もあります。

詳細な調査報告書は言わば健康診断の結果表です。住宅は今どんな状態なのか、どこに不具合が生じているのか、より明確に知ることができます。

いずれの項目も後悔なく住宅購入すると考えると持っていて損のない書類だと言えます。

基本料金に全ての調査が含まれる場合も

インスペクション会社の中には調査項目を全ての依頼主に対して一律に設定しており、床下・小屋裏・屋根・鉄筋探査・報告書作成、といったメニューを最初からパックで提供している場合もあります。

鳥居
鳥居

「あれこれ考えるのは難しいからプロに全部任せたい」という人には一律調査がオススメです

オプション料金がオススメな人

  • 調査項目を自由に決めたい
  • 調査メニューや費用にはこだわりがある

一律料金がオススメな人

  • 調査内容はプロにお任せしたい
  • 料金体系はシンプルな方がいい

築年数

中古物件は年数が経過しているため、どうしても劣化や隠れた問題が指摘されやすい傾向があります。

そのため、新築に比べてホームインスペクションにより多くの時間を要したり、調査そのものも複雑になりがちです。

こういった事情から、新築に比べて中古住宅のホームインスペクション費用は高く設定されているケースが多く見受けられます。

鳥居
鳥居

おおよそ2〜3万円ほど高く設定する会社が多いと思います。

建物の広さ

建物が大きくなればより多くの部屋やエリアをチェックする必要があり、その分ホームインスペクションにかかる時間も長くなります。

そのため、延床面積が一定の値を上回っていたり、二世帯住宅のような建物自体が特別な作りになっている場合に費用が多くなる傾向にあります。

また、同様の理由で戸建て住宅に比べて調査範囲が狭いマンションの方が基本料金が安く設定されている場合が多いです。

具体例(e-LOUPEの場合)
間取り図
2LDK、延床面積90㎡

戸建て新築住宅 108,900円(税込)
戸建て中古住宅 132,000円(税込)

料金に含まれないもの

ホームインスペクション費に含まれないサービスとして

  • 傷や汚れのチェック
  • 各部屋への通電の確認

などがあります。

傷や汚れのチェックはそもそもの許容値が人によりかなりばらつきがあることから公正公平な立場からの指摘が難しく、確認の対象外とするのが一般的です。

一応アドバイスとして、「この程度の傷は他の買主の方はどうしていたのか?」といった”質問”であれば答えてくれると思いますので、うまく頼ってみるのがいいと思います。

費用の負担は”買主”がオススメの理由


ホームインスペクションの費用に関する注意点として、「誰が費用を負担するのか」は意識しておいた方がいいと思います。

ホームインスペクションの費用を負担するのは買主の場合と売主の場合という、2つのケースが考えられます。

売主が調査費用を出してくれるならラッキー・・・とは言いきれません。

参考までに、アメリカでは過去に売主によるホームインスペクションで業者とインスペクターの癒着が社会的な問題となり、売主経由のホームインスペクションが禁止となる事態にまで発展しました。

もちろん全てのインスペクターに当てはまるわけではありませんが、売主が費用を負担するホームインスペクションではその関係が保てない可能性も無いとは言い切れません。

鳥居
鳥居

不安要素をできるだけ無くしたいなら買主持ちのインスペクションがオススメです

さいごに


今回はホームインスペクションの費用について料金体系の仕組みやオプション調査の種類など、詳しくご紹介してきました。

ホームインスペクションと一概に言ってもサービスの体系は会社によって多種多様です。

ぜひ自分に合った調査会社を見つける参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

e-LOUPEトップページへ
e-LOUPEの診断内容
過去の診断事例集
e-LOUPEの診断料金
e-LOUPEお問い合わせフォームへ

 

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。