e-LOUPEの旬ネタコラム
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プロが明かす!家の傾きを調べる方法と注意点
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの岩井です。今回は家の傾きの調べ方についてご紹介していきます。
家の傾きは購入を検討される多くの方が興味を持たれるところだと思います。
ぜひ参考にしていただけると幸いです。
家の傾きはどうやって調べる?
家の傾きの調べ方としては大きく
- 目に見える特徴から傾きを疑う
- 機材で計測して具体的な数値を出す
という2つのアプローチに分類できます。
前者であれば、
- 部屋の扉が勝手に動く
- 引き戸の柱と扉の間に隙間がある
- 基礎に多くのひび割れがある
- 建具の建てつけが悪い
- 違和感や気持ち悪さを感じる
などがあります。
後者であれば、水平器やレーザーレベルという水平・垂直な光を出すことができる特殊な機材を用いることで計測が可能です。
戸建て住宅のホームインスペクションでは傾きの調査は主にレーザーレベルを用いて行い、水平器を補助的に使用することが多いです。
また、これらの機材は調査会社の方針によって全ての部屋で計測を実施する場合と代表的な何か所かでの計測を行う場合とがあります。
もし調査会社への依頼を検討されているならば、事前に調査メニューを確認されるのがおすすめです。
おおよその傾きの目安ですが、
- 新築住宅:3/1000(1mで3mm)
- 中古住宅:6/1000(1mで6mm)
であることが一般的で、瑕疵保険の加入の可否についてもこの数字が目安とされることが多いです。
家の傾きは1箇所だけでは分からない
ちなみに傾きの計測はあまりに狭い範囲で行っても正確なデータとは言えないことから、床面で3m、壁柱で2m以上の距離で行われることがルールとなっています。
床が無垢材であった場合には乾燥収縮で部材が反ることもありますし、下地の影響で若干の傾きが発生してしまうことは木造住宅では珍しくありません。
そのため、テレビでビー玉を転がして傾きを確かめるシーンを見たことがあるかも知れませんが実際には正しい結果かどうかは分かりません。
それに関連して、「自分で床に計測器を当ててみたら傾いていた」というご相談をいただいた時も「局所的に傾いていたからといって問題があると決まったわけではないのでご安心ください」とお答えさせていただいています。
家の傾きは修繕できる?
もし万が一家に傾きが見受けられた場合に気になるのが修繕の可否ですが、ここで申し上げられるのは「微妙なところだ」ということです。
家の傾きの原因を正確に把握するのはとても難しく、断言できないケースが多いです。
もちろん傾きの状況からある程度の予測をすることはできます。
たとえば1階と2階のどの部屋も同じ方向に一定の角度で傾いている、となった場合には地盤沈下が疑われますし、ジャッキアップなどで改善できる可能性があります。
他にも傾向がはっきりと現れた場合には「このパターンだとこれだろうな」と対策を絞って考えることができます。
しかしそれらはあくまで予測に過ぎませんし、その修繕が本当に正しい選択だったかどうかはある程度の時間が経った後でないと分かりません。
修繕を検討する際は万が一の状況も十分想定しておくのがいいのかなと思います。
ちなみに修繕にかかる費用は規模により大きく異なります。
建物全体の修繕をする方法や、健康被害を及ぼす大きな傾斜が生じている床面のみを修繕するという考え方もあります。
ただし建物全体の傾斜を修繕しない場合には、構造的な影響に問題が残らないかしっかり確認しておきましょう。
まとめ
今回は家の傾きについて調べ方や傾きの修繕についてご紹介してきました。
これまでホームインスペクターとして何百棟と住宅診断をしてきた経験を踏まえますと、家が築20年程度で傾いてしまうということは普通はありません。
もし傾きが見受けられる家であった場合に必要なのは「普通は傾かないはずの建物がどうして傾いているんだろう?」という発想ではないかと思います。
家は非常に大きな買い物です。現状を正しく把握し、適切な情報をもとにした購入の判断が望ましいですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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