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リフォームに失敗しない為にやるべき事とは?住宅のプロが解説!
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
今回は「失敗しないリフォーム」をテーマにお話ししていきます。
生活環境や家族構成の変化、建物の劣化といった事情からリフォームを検討されたり、中古住宅をリフォーム前提で購入という選択をされる方もいらっしゃるでしょう。
そういった人が一番恐れるのはやはり「失敗」だと思います。
この記事ではリフォームで失敗しないためのコツを住宅診断のプロという目線からご紹介していきます。
目次
そもそもリフォームする理由は?
まず基本となるのが「リフォームの目的」です。
目的が明確で無いとあれもこれもとうまく計画を立てることができません。リフォーム内容、費用等にも大きくかかわってくる点ですので必ず明確にしておきましょう。
ぜひ一度「なぜ自分はリフォームをしたいのか」を考えてみてください。
いくつかの参考例をご紹介します。
住む人の変化に伴う住環境の調整
住宅の機能と実際に住む人間の要望の差を埋めるためのリフォームです。
住む人間の変化に応じてそれまで取れていたバランスが崩れてしまうことがあります。
具体的には
- 子供が生まれたり、二世帯三世帯で住むようになり人数が増えた
- 子供たちが独り立ちして人数が減った
- 親から子へと住む人間が変わった
などの変化が挙げられます。
これらの理由から住みにくくなってしまった家を住みやすくするためにリフォームが行われることがあります。
快適性の向上
住宅自体の性能や、設備を最新のものに交換するためのリフォームです。
例えば床下や小屋裏の断熱改修を行ったり、浴室をタイル風呂からユニットバスに変更したり、台所をシステムキッチンに改修する・・・といったリフォームが代表例です。
最近ではそれらと合わせて太陽光パネルの設置であったり、オール電化にするという目的もあります。
その他では、玄関スロープや階段の手摺といったバリアフリー化も理由となるケースもあります。
安全性の向上
建物自体の安全性を高めるためのリフォームです
1981年以前に建てられた住宅は「旧耐震基準」となり、耐震性能が低い可能性が強いです。
それ以降であっても2000年までの住宅だと現行の基準に達していない可能性がありますがその場合、住宅の耐震性能を向上させるための工事を実施する目的でのリフォームとなります。
既存の状況によっては、工事箇所が多岐に及ぶ場合もあり大規模になる事もありますが、元の住宅がしっかりとしている場合や計画によっては小規模な工事で住む場合もあります。
事前に耐震診断を行って計画を立てる必要があります。
メンテナンスとしてのリフォーム
外壁や屋根、基礎といった箇所は雨風を防ぐものとなりますが、長年風雨にさらされる事により劣化が進行していきます。
それにより雨水の浸入を防ぐ能力であったり見た目が劣化する事になります。
劣化が進行することによって雨漏れ等の問題が起こる前に定期的に実施するものとなります。
例えば外壁であれば10~15年を目安に塗装塗り替え等のリフォームを行う事により雨漏れ等の事象を事前に防ぎ、部材自体も長持ちさせるものとなります。
建物を直したい時
建物性能を向上させる目的がスタートでは無く、劣化した部分を修繕するのが目的となる場合です。
例えば雨漏れや白蟻被害といった部材の劣化が生じており、その修繕を目的とする場合です。
目的に適うのはどんなリフォーム?
リフォームの理由が明確になれば何をするべきかが見えてきます。
中には理由がそのままリフォーム内容となる事もありますが、大抵の場合複合的な理由となり、リフォーム箇所もそれに伴い増える事となります。
建物の修繕
建物を直したい時というのがこれになりますが、劣化状況によって修繕範囲も大きく変わってきます。雨漏れ被害の場合でも、被害のあった屋根部分のみ直すのか、屋根全体を直すのか、室内に影響出た範囲をどこまで直すのかで大きく変わります。
白蟻被害も同じような状態で、被害の出た範囲のみの修繕であっても、玄関框の部分的な交換であったり、ドア枠交換であったり、浴室を丸ごとユニットバス交換するといった様に自裁の修繕工事には幅があります。
これらと合わせて他の工事も実施するという事もありますので、どこまで手を付けるのかをしっかりと考えておく必要があります。
水廻りの設備
台所や浴室、トイレ等の交換といった物になります。これに関しては水漏れがきっかけであったり、中古物件購入時といった新たな人が入る時に実施する傾向があります。
他の部屋はそのままでも水廻りはリフォームしたいという要望も多くあります。
これらの工事の場合、床や壁を剥がす事があります。その際に見えていなかった不具合を発見する事がありますので、その場合その処理で日数や金額が増える事があります。
既存の住宅で水廻りのみ交換するとなると、施工が難しい場合があり、工事完了後に水漏れが起きたというトラブルもあります。しっかりと確認されるのが良いでしょう。
バリアフリー化
住んでいる人が高齢化したり車椅子生活となった場合、今のままの住宅では使いにくく玄関スロープであったり階段の手摺であったりを付ける事があります。
又、浴室やトイレをそれらの人でも使いやすい物にリフォームするといった事もあります。
規模によっては比較的小規模であり、補助金等の支援制度もありますので、必要な方は積極的に活用するべきですし、現在はまだ必要でなくとも将来を見据えて他のリフォーム工事と合わせて実施するケースもあります。
部分的な断熱
住宅の断熱材に関しては比較的新しい物件であっても、十分とは言えないレベルである場合があります。その場合に床壁屋根といった建物の外周(外皮)に設置されている断熱材をより性能の良いものに入れ替えたり追加で設置したりします。
基本的には床や壁を剥がして設置する事が多く大規模な工事となりますが、工法によっては非破壊で短期間で終わるものもあります。
床の張り替えやフルスケルトンを計画されているのであれば、そのまま新しい断熱材を入れ替える方法が良いですし、他のリフォームは特に計画しなかったり、短期で終わらせたい場合は非破壊での断工事を検討されると良いでしょう。
外回りの改修
一般的に外壁はその種類にもよりますが10~15年おきにメンテナンスを実施する事が望ましいです。工事には足場が必要ですので、外壁の改修をするのであれば屋根も一緒に・・・というケースが多いです。
定期的にやる必要があり費用がかかると考える方も多いですが、事前に雨漏れ等の被害を防止するという意味では非常に効果的であり結果的にコストパフォーマンスが良いと考えられます。
フルスケルトン
今まで紹介してきたのは部分的なリフォームとなりますが、フルスケルトンとは主に基礎や柱梁だけを残して他全てを新しくするものとなります。
新築より費用は安くできますが、大きな金額が必要となります。又建て替えが難しい建物であっても対応できる方法でもあります。
既存の柱等によりレイアウトに制限は受けますが、ほぼ新築同様の仕上がりともなり、性能や機能面に関しても最新の基準での施工が可能です。
費用や期間に問題が無い場合は望ましい方法の一つとなります。
リフォームにローンや補助金を活用するには?
リフォームには多額の費用がかかります。大規模な工事になればリフォームローンを組んで行うこともあるでしょう。
そこで活用して欲しいのがローンや補助金といった制度です。
国や各自治体が各種リフォーム工事に関しての補助金を出している場合があるので積極的に活用していきましょう。
注意すべきは「リフォーム会社が補助金の申請や手続きのノウハウ、各種自治体の補助金に関する知識を持ち合わせているか」です。
事前に補助金制度の要件を確認してリフォーム会社に相談するのが良いでしょう。
親切丁寧に対応してくれる会社であれば、対応できるようにプランを検討してくれる事もありますが、あいまいな返事しか返ってこないようであればより詳しそうな業者を探して見るのがいいと思います。
業者とのトラブルを避けるためのポイント
リフォームにおいて注意しなければいけないのは業者とのやり取りで起きるトラブルです。
せっかく適切な計画を立ててもそれを実際に実行する業者との間で問題が起きてしまっては後悔を残すリフォームになってしまうかも知れません。
ここからはリフォーム業者とのトラブルを避けるためのポイントをご紹介していきます。
飛び込み営業は断る
まず、大前提として「飛び込み営業」でのリフォーム会社は注意が必要です。
全ての業者が悪いとは言いませんが、仮に来たとしてもその日のうちに調査をしたりするような業者は断るようにしましょう。
話だけうかがってしっかりとその会社を調べて、信頼できると思ったら後日依頼する様にしましょう。
専門業者とトータル対応業者を使い分ける
行いたい工事が既にしっかりと決まっていて、それが(外壁塗装等)一工事だけであれば、自身で専門業者を探して依頼する方法で良いでしょう。
色々な工事を行う事を想定している場合、(例:外壁塗装と浴室工事など)ご自身で手配を進めると業者間での調整が大変になる場合がありますので、リフォーム専門会社や地場の工務店に一括で相談するのが良いでしょう。
どの様な場合でも可能であれば相見積もり(複数業者に見積をとる)をする事が良いでしょう。その場合、費用だけでなく内容に関してもしっかりと確認される事が必要です。
提案されたプランは疑うようにする
無事依頼する業者が決まっても過信は禁物です。
注意しておかなければいけないのは、リフォーム業者は必ずしも本当に必要なものを提案してくれるとは限らないということです。
建物の状況を把握しつつ、「これは必須ですが、こっちは贅沢品ですよ!」と、適切なリフォーム提案をしてくれれれば良いのですが、リフォーム会社としては建物を良くして住みやすくするのが一番の目的です。
もし良い商品があれば色々提案してくれるのは、ある意味良い事といえるでしょう。
ただし、リフォーム会社の話を聞いているとドンドンやりたい事が広がっていきます。優先順位を付けて計画する必要があります。
リフォーム業者にしっかり要望を伝える
基本的な事かも知れませんが、リフォーム業者とはしっかり話をしましょう。
聞くだけで無くこちらの希望や思いを伝えるのと共に疑問点も無くしていきましょう。
特に住宅に関しては専門用語になる事もありますし、お互いのイメージが食い違っている事があります。
商品サンプルやネットでの情報、ショールーム等色々確認できる方法がありますので、担当者ともイメージを共有しましょう。
また話した内容はしっかりと記録しておくことも必要です。準備の良い会社であれば打合せごとにその場で打合せ内容を記載してくれることもありますが、自分たちでも記録しておくと良いでしょう。
手間になる事もありますが、後々のトラブルを防ぐためにも重要な点になります。
「隠れた不具合」を想定しておく
リフォーム工事は既存部分が残りますが、それらの状況が事前には正確には把握できていないというケースがあります。
見えない箇所の代表としては雨漏れであったり白蟻被害というのもがあります。またネズミ等小動物が出入りしている痕跡が見つかったという事例もあります。
これらの不良個所が見つかった場合当然修繕する事になりますが、状況によってはその場で作業している業者では対応ができず専門業者を手配する必要があります。
それらによって想定以上に時間がかかったり費用がかかったりすることがあります。
そのようにならないように事前に建物状況を調査しておくと良いでしょう。
リフォーム後に不備の有無をチェックする
工事が無事に完成してから後日に不備が見つかるケースがあります。
新築工事のように一から施工するのと違い、既存住宅の状況に併せて処理をしなければ行けないリフォーム工事は、一般的に難易度が高めになるといわれています。
だから許される物ではありませんが、施工した断熱材が剥がれていたり、配管の接続がはしっかりしていなかったという事例もあります。
施工完了後にしっかりと確認する段取りをしておく必要があります。
ホームインスペクションはトラブル防止に最適!
最後に、後悔のないリフォームを実現するための手段としての「ホームインスペクション」の活用をご紹介させていただきます。
リフォーム前のホームインスペクションのメリット
リフォーム前にホームインスペクションと聞くと、「インスペクションにかける費用をリフォームに回した方がいいのでは?」と思うかもしれません。
確かに最初から何を直すかが明確で、手をかける場所の優先順位が決まっているのであれば、ホームインスペクションは必ずしも必要ではないと思います。
しかし、事前に建物の状況をしっかりと把握するのが非常に重要ですが、それが難しく、その判断がリフォーム工事全体に影響します。
その為、専門家による事前調査を実施するのが望ましいのです。
建物の現状を正確に認識
ホームインスペクションでは建築士である建物のプロが家全体をくまなくチェックします。
その結果、どこがどの程度傷んでいるのか、修繕が必要なのかなどを網羅的に知ることができますので、計画的なリフォームの大きな支えとなってくれるでしょう。
リフォーム工事を実施する当事者ではありませんので、処理が必要な箇所、不必要な箇所に関しても利害の関係なくアドバイスが可能です。
確かに一時的な調査費用はかかるかも知れませんが、後々のトラブル発生のリスクを大きく下げることができますし、優先すべきリフォームを絞ることでコストを抑えることもできるでしょう。
もし漠然と家のメンテナンスで不安を抱えていたり、リフォームをしてみようかなと思われているようでしたら、ぜひホームインスペクションを活用してみてはいかがでしょうか。
ホームインスペクションについてはこちらのページでも詳しく解説していますので、もし興味を持っていただけたようでしたらぜひ併せて読んでみてください!
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。