e-LOUPEの旬ネタコラム
- 中古戸建て
競売物件の購入はアリ?検討前に知っておくべきことを解説
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの鳥居です。
今回は競売物件を購入する際の注意点について解説していきます。
できるだけ低価格で住宅を購入したい、と思われている方が可能性の1つとして思い浮かべるのが競売物件だと思います。
「安いイメージはあるけど実際どうなの?」「買っても安全なの?」 という方はぜひ読み進めてみてください。
目次
そもそも競売物件とは?
競売物件とは、競売(オークション)にかけられる住宅および土地のことです。
もし買主が住宅ローンを返済できなくなった時、お金の貸し主は裁判所を介して担保にしていた家や土地などの財産を差し押さえることができます。
差し押さえられた建物は裁判所によって競売に出され、債務の返済に充てられます。
もし競売物件を探したいなら、主な手段はインターネットとなるでしょう。
『BIT(不動産競売物件情報サイト)』などのサイトで裁判所による物件が公開されており、建物の基本的な情報を簡単に閲覧できます。
物件の引渡しまでの流れも解説されているため、一度目を通してみると勉強になると思います。
競売物件の安さとリスク
競売物件は一般的な市場流通価格に比べておおよそ6~7割程度の価格で手に入る傾向にあり、非常にリーズナブルだと言えるでしょう。
そのため、購入費で浮いたお金をリノベーションや改装に回すといったこともできるかも知れません。
一方、競売物件には様々なリスクも存在します。
まず、建物がどのような状態なのか事前に内見することができません。
建物の状態を確認する手段は裁判所が出す写真や書類のみです。
購入した住宅に何かしらの不具合があったとしても全て買主の自己責任ですし、もちろん売買契約の取り消しも行えません。
いくら安いとはいえ、住宅の値段を考えるととても大きな冒険になるのではないかと思います。
また、競売物件ならではの大きなリスクとして占有者(元々の居住者)とのトラブルがあります。
そもそもなぜその家が競売に出されたのかを考えると、この問題は避けられないと思います。
諸々の交渉は購入者が自分で行わなければなりませんし、万が一建物明渡しの強制執行をするにも別途裁判所に申し立てて手続きを行う必要があります。
私が聞く限りでも元居住者とのトラブルは相当なもので、競売物件を購入するのであれば「誰かの恨みを買うかも知れない」という覚悟は必要だと思います。
一般的な住宅では不要な部分で肉体的にも精神的にも消耗するリスクがあることや、トラブルが発生したという事実がその土地やその家に作られる可能性は頭に入れておくべきでしょう。
不動産業者が購入後の競売物件は安全?
競売物件を法律・建築に関する専門的な知識がない個人が購入するのは様々なリスクが考えられます。
「なるべく面倒ごとに巻き込まれずに安全に競売物件を購入したい」という方におすすめなのが、不動産業者が落札した競売物件の購入です。
不動産業者から競売物件を購入するメリット
不動産業者から購入するメリットは、面倒ごとをすべて不動産業者が引き受けてくれることです。
買主は立ち退きの交渉をする必要もなければ、実態が分からない建物を購入するというリスクを背負う必要もありません。
業者に入ってもらうことで、ある程度の”分からない不安”から解放されることになると思います。
不動産業者は住宅を売るプロ
不動産業者を介することで取り除かれるリスクもありますが、それと同時に新たに生じるリスクもあります。
そもそも不動産業者は住宅を”売る”プロであるということを忘れてはいけません。
元々の建物がどのような状態であったかは落札者である不動産業者しか分かりませんし、それをそのまますべて話してくれるということはまずないでしょう。
また、不動産業者からの購入となったことにより、本来の目的であった安さという競売物件の強みも大きく失ってしまうことになると思われます。
こういった状況を総合的に考慮しながら購入するかどうかの判断をする必要があります。
不動産業者から購入する際の対策
不動産業者から物件を購入する際の対策として、情報の非対称性(売主が知っていて買主が知らないこと)をできるだけなくすことをおすすめします。
建物の経歴を知る
まず知るべきはその建物の経歴に関する情報でしょう。
おすすめは法務局に行ってその物件の登記事項証明書(登記簿謄本)を取ることです。
1通につき600円の手数料を払うことでその物件について、誰が抵当権を持っていたのか、負債はいくらだったのか、といった経歴が分かります。
少し手間かも知れませんが、後々のトラブルを防止するためにも事前に調べておいて損はないと思います。
また余談ですが、登記簿謄本を見れば不動産業者がいつその物件を買い取ったかが分かりますので、その情報をもとに裁判所などのサイトを調べれば落札価格も分かるのではないかと思います。
建物の状態を知る
次に知るべきは建物の状態です。
不動産業者は中古住宅について「中古なんだから不具合なんてあって当たり前でしょ?」という考え方が一般的です。
それだけならばまだいいのですが、リノベーションによって内装はとても綺麗に見えるけど、構造に関する部分は劣化してボロボロ・・・ということも普通に起こり得ます。
やはり大切なのは第三者による調査などを活用して買主自身が建物にはどんな不具合があるのか、修繕は必要なのか、どの程度の費用が想定されるのか、といった情報を正確に把握した上で購入するかどうかの判断をされることではないかと思います。
さいごに
今回は競売物件を購入する際の注意点についてご紹介してきました。
個人で競売物件を購入すれば費用面は非常にリーズナブルだと思います。
一方その代償として様々なリスクがつきまといますし、それを受け入れられないのであればやはりプロの不動産業者を活用するべきでしょう。
その場合、不動産業者は建築のプロではありませんのであまり鵜呑みにしすぎず、自分自身でしっかりその家を調べる姿勢も大切です。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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