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こんな基礎工事には注意!失敗例を解説
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
こんにちは。e-LOUPEの鳥居です。
今回は基礎工事の失敗例(指摘事項)をご紹介していきます。
基礎は建物の完成後は内側が見えなくなってしまうことから、施工にミスがないかどうしても不安に感じてしまうと思います。
基礎の指摘事項としてどのようなことが起こりうるのか、これまでの調査の経験を元に詳しくご紹介していきます。
目次
基礎立ち上がりのひび割れ
基礎の外側は化粧モルタルがあるため中々コンクリート表面を確認する事ができません。
その為、構造に影響を及ぼす恐れがあるひび割れを確認するには床下からの調査が有効です。
外で確認できたひび割れと同じ箇所の床下側でもひび割れがあれば、そのひび割れはコンクリートを貫通している可能性があります。
こういった基礎のひび割れは内部の鉄筋にも影響が出るため、貫通していると思われるひび割れやひび割れ幅が広い(0.5㎜以上)のひび割れであれば、早目に修繕することが望ましいですね
床下底版のひび割れ
基礎のひび割れというと立ち上がり部分が想像されがちですが、床下の底版部でも発生することがあります。
底版部のひび割れの主な原因はコンクリートのかぶり厚(内部の鉄筋から表面のコンクリートまでの厚さ)の薄さです。
かぶり厚の薄さが原因で発生したひび割れは、土間にモルタルや補修材を流し込んで厚さを確保すれば修繕が可能です。
しかしひび割れがあまりにも著しかった場合は転圧不足や、地盤沈下、極度なかぶり厚不足などが考えられ、場合によっては大規模な工事が必要となる場合もあります。
欠損・ジャンカ
基礎コンクリートの施工時に発生するミスの典型例がジャンカです。
ジャンカとはコンクリートが枠材の中にしっかりと行き渡らず、砂利の材料が部分的に寄ってしまって砂利が表面に露出している部分をいいます。
ほかにもコールドジョイントと呼ばれるコンクリート施工時に材料を重ねて施工する際に時間がかかり過ぎてしまい層のようになってしまう不具合も同じく確認されます。
これらは打設時にコンクリートが上手く行きわたっていないことが原因であるため、突き詰めれば施工する職人の腕や施工時の管理の不十分さに起因します。
隙間の大きさによっては構造や耐久性に影響を及ぼすため、修繕する必要があります。
基礎の配管貫通部
基礎の外と中を繋ぐという意味では基礎に穴を開けて配管を通している箇所がありますが、この基礎に空けた穴と配管との間に隅間が生じている場合があります。
基本的に防水の処置がされていますがたまに忘れてしまっている場合があり、こういった隙間が放置されていると床下内部に雨水や小動物が入り込む原因となるため、しっかりと隙間が無いようにする必要があります。
通気口の網
最近の床下の通気方法には基礎パッキン工法という方法が取られています。
これは基礎の立ち上がりコンクリートと土台の間に基礎パッキンと呼ばれるスペーサーをいれ隙間を造る事により床下への通気層を確保するものです。これにより基礎の全周から換気できるようになりました。
化粧モルタルがついて網が塞がってしまっていたりすると床下換気へ影響が出るケースが有るためカビなどが発生しやすくなるといった事態があります。
今後の住まう中でのリスクとなりますのであらかじめ修繕しましょう。
基礎コンクリートの打設忘れ
基礎コンクリートの打設忘れは滅多にあるケースではありませんが、やはり全くないわけでもありません。
残念ながら施工の不備自体を誤魔化そうとしているケースもありました。
こちらの物件では本来鉄筋を組むはずの場所に何もなく、後から練ったモルタルで基礎が作られていました。
コンクリートの中性化
コンクリートはアルカリ性であることから、内部の鉄筋の酸化と錆びを防ぐ働きがあります。
しかしもしコンクリートに隙間がある状態で施工がされると雨風などの影響によりコンクリートが中和されてしまう原因となります。
その場合、内部の鉄筋が錆びやすくなり、酸化により鉄筋全体の体積が増加して基礎のひび割れやコンクリートを内部から破壊する「爆裂」という現象が起こりやすくなります。
基礎の強度に大きな影響を与えることに繋がりますので、建築の時点で不具合がないかを見極めておくことが重要です。
負荷の不均一による地盤沈下
基礎の厚みの不均一から建物の重みをしっかりと支えきれず、建物全体に傾きや地盤沈下が発生してしまう場合があります。
もし地盤沈下が発生した場合、建物自体をジャッキで上げて水平を保つ補強工事などの対策が考えられますが、大規模な修繕となるため非常に高額になることが予想されます。
新築の時点で地盤沈下が生じる事は非常に稀です。しかし地盤改良や掘り返しが行われた土地は土壌が落ち着く(沈下しきる)のに10年程かかると言われています。
そのため新築から10年の間に敷地内で部分的な沈下が生じて不同沈下となるケースということも起こり得ます。
こういった状況がないか、10年目点検の時点で確認しておくのがおすすめです。
また、もし地盤沈下などが生じた際はどのような対応をしてくれるのかを確認しておくと安心に繋がるでしょう。
特に崖地や埋戻しの盛土で地盤が形成されている土地は要注意です。
さいごに
今回はホームインスペクションにおける基礎周りの調査についてフォーカスを当ててご紹介してきました。
基礎の確認は外周りであれば誰でも簡単に調べることができます。
しかし見えない部分まで調査を行ってはじめて分かることがあるのも大事なポイントですね。
長く安心して暮らせるお家づくりの参考となったようでしたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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