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意外と難しい!?内覧会での水平器の”正しい”使い方

2022.10.28
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

こんにちは。e-LOUPEの岩井です。

今回は内覧会での水平器の使い方についてご紹介していきます。

多くのお客様がとても興味を持たれていることの1つに「建物の傾斜」があります。

そのため、ご自分で水平器を用意して測ろうとされる方も時折いらっしゃいます。

しかし水平器を正しく使うには意外と”コツ”が必要です。

一緒に勉強していきましょう!

内覧会での水平器の正しい使い方

「何を」調べるかを明確に

精密水平器

水平器を正しく使うには、まず前提条件として「目的にあった」水平器を用意する必要があります。

水平器には、気泡で判断するような物もあればデジタル水平器もあります。

種類を決める上で大事なのは「水平器で何を調べたいのか」を明確にすることです。

「建物の傾斜に決まってるでしょ?」

と思われるかも知れませんが、実は一概に傾斜といっても様々なものがあります。

例えば、経年による部分的な傾斜はどうしても起こりますし、地震や自重、地盤などによって傾くこともあれば、表面の仕上げ材の影響で測定した部分だけで傾きが起きていることもあります。

もし、「傾斜の有無を簡単に調べたい」という場合は小さい気泡タイプのもので十分ですが

  • どれくらいの傾きが起きているか
  • どちらに傾いているのか

をしっかりと確認をしておきたいという場合にはデジタル水平器が必要になります。

自分の目的に合った水平器を用意しましょう。

ちなみにホームインスペクションでは精度の問題から水平器ではなく、「レーザーレベル」で測定されることもあります。

1箇所だけでなく前後左右で確認する


どんな水平器でも大切なのは「一度だけの測定で判断しない」という点です。

なぜかというと水平器の測定結果は水平器を置いた「材」の状態により大きく左右されるからです。

例えば、部屋のある一点で水平器を使ってそこで傾きが見つかったとしても、それは部屋や建物全体ではなくそこだけのものである可能性もあります。

より信頼できるデータにするには前後左右に移動しながら測定し、その平均を確認するようにしましょう。

推奨されているのは

  • 床:3メートル間での1メートルあたりの傾斜
  • 壁:2メートル間での1メートルあたりの傾斜

を調べる事です。

仕上げ材の影響が少ない場所で計測しよう

先ほどもご紹介した通り、水平器の測定結果は仕上げ材の状態によって精度が大きく変わります。

傾斜を確認する時は、なるべくその影響を受けにくい箇所がいいでしょう。

具体的には

  • 柱が入っているところ
  • 部屋の角
  • 壁の端側

などです。

また、計測する時はなるべく仕上材をまたがずに計測するようにしましょう。もし広い居室の場合は東西南北の壁際で測定するとより正確なデータになります。

デジタル水平器の読み取り方

精密水平器
水平器がどのような示すのかは機器によっても変わりますが、正確な数値としての測定ができるデジタル水平器の見方についてご紹介していきます。

建物の傾きは水平器によって色々な表示方法がありますが基本的には千分の○○という単位をおすすめします。

これは「1メートル(1000ミリ)あたり何ミリの傾きがあるか」を意味します。

既存住宅の調査においてはこの数値が「6/1000」を上回るようなら指摘事項となります。

ただし、「6/1000以下なら安心」というわけではなく、3/1000以上が複数箇所で「同じ方向」へ傾いているのであればその建物が不同沈下などで傾いている可能性もあります。

対策が必要かも知れませんので、一度専門家にしっかり見てもらうことをおすすめします。

プロが使う水平器との違いは?

ちなみにプロが使う水平器は一般よりも特別かというとそんな事はなく、市場に出回っているものを使っています。

ただ、もし「あれ?おかしな数値だな」となった場合に

  • 無視しても問題のないものか
  • 部分的な仕上げなものか
  • 何かしらの傾向がみられるか
  • 原因は何が考えられるのか

などを判断する必要があります。

水平器の性能に大差はありませんが、何かあったときに適切な判断を自信を持って行えるのがプロのホームインスペクターの強みです。

まとめ

今回は内覧会での水平器の使い方についてご紹介してきました。傾きの有無は住む人の健康にも建物の寿命にも関係がある大切な要素です。

また、建物の傾斜を調べることで

  • 浴室から床や床下への水の浸入
  • バルコニーでの水の滞留
  • 家具の壁や他の家財道具との接触

といったリスクを把握できるようになります。

ぜひ住み始める前にしっかりとチェックを行うことをおすすめします。

また、もし「自分では大変そう・・・」という時はプロにお任せしてしまうのも1つの手だと思います。
ホームインスペクションとは内覧会でこのような調査をして回るサービスです。

もし興味を持っていただけたようでしたら是非チェックしてみてくださいね。

最後までお読みくださりありがとうございました。

「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。