e-LOUPEの旬ネタコラム
- 新築戸建て
内覧会は「トラブル予防の場」住む前に気づいて良かった指摘事項の例
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
「これまで行った内覧会の調査では、どんなトラブルがありましたか?」
このような疑問にお答えします。
この記事では、私がこれまでに内覧会で発見した「放置していたらトラブルになりかねなかった指摘事項」の一例をご紹介していきます。
内覧会で発見したトラブルにつながる指摘事項
これまでの新築住宅の内覧会では、実に9割以上の物件で補修をしてもらうべき指摘事項が見つかっています(傷や汚れなどは除く)。もちろん大小の差はありましたが、その中でも、「これはトラブルの元だろうなぁ」と感じたのは
- 防水部分の施工不備
- 金物の締め忘れ
- 断熱材の施工不良
- 屋根材の未施工
- 基礎のひび割れ
- 水たまり
- 換気ダクトの未施工
などです。それぞれの指摘事項についてより詳しくお話しさせていただきます。
- 防水面での施工不備
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私たちは内覧会で- 壁と壁のつなぎ目
- 窓の周り
- 基礎と配管のつなぎ目
などを見て「シーリングの仕上げが雑だな」と感じた時は指摘事項として報告させていただいています。なぜなら、雨漏れのリスクにつながるからです。
これらの場所は元々構造上、外から水が入りやすい場所です。ですので、シーリングなどで「防水」のための対策が行われます。しかし、防水面は人の手で仕上げられることから、施工をした人によって品質に差が生まれやすくなっています。
確かに内部には防水シートがあり、すぐに建物の雨漏れにつながることはないでしょう。
とは言え、リスクが高まることに変わりはありません。後々のトラブルを避けるためにも、売り主様にシーリングを補修してもらうよう、お願いをしています。 - 金物の締め忘れ
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小屋裏を調査した時、もし金具に緩みがあった時は指摘事項としています。金具の締め忘れは建物の耐震性能にも影響を及ぼすからです。金具が緩んでいると衝撃に弱くなるので、建物に強い力が加わった時に倒壊の恐れがあります。ですので、万が一の自然災害のトラブルのことを考えると、本来の耐力をしっかり確保しておく必要があります。
もし内覧会で金具の締め忘れを発見した際は、締め直してもらうよう、売り主にお願いをしています。
- 断熱工事の施工不良
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断熱材は快適な暮らしを送る上でとても大切な建材です。しかし、- 断熱性能の確保にはデリケートな施工が必要
- 現場の人間が断熱材について知識不足
これらのことが要因となり、本来の性能を発揮できない取り付けられ方がされていることが少なくありません。
- ただ置いてあるだけ
- 隙間だらけ
- ちぐはぐに施工されている
こんなことがよくあります。
断熱材の施工がしっかりできていないと夏の暑さ、冬の寒さ、結露などのトラブルに繋がります。断熱材に関しては保証の対象外としている工務店やハウスメーカーも多いようですが、調査では可能な限り修繕をしてもらえるよう、アドバイスをさせていただいています。
- 屋根材の未施工 一部木部が露出
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屋根の不具合は恐らく一般の方では発見がとても難しいと思います。なぜなら、普通に外から見ただけではわからないからです。
とはいえ、屋根は建物の最も外側であり、外部の過酷な環境にさらされる部位でもありますので、屋根に不具合があると建物全体のトラブルのリスクも大きく上がります。
過去に行った内覧会での調査では、
- 部材が設置されておらず木部が露出したまま
- うっかり割れた屋根材が放置されたまま
などの指摘事項を発見したこともあります。屋根に問題がないかどうかを確かめるには専門家の知識と経験が必要不可欠といっていいでしょう。
- 基礎のひび割れ
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新築でも基礎にひび割れを発見することがあります。
ひび割れは全てが問題というわけではありません。季節による温度差が原因でできた軽微なひび割れもあります。
しかし中には基準となる数値も超えて多数割れが生じていることもあります。
基礎も他の部位と同様に、基準値を超えたひび割れの有無をしっかりと確かめておくべきです。もし不具合に気づかないでいると、建物の耐久性が下がることになりますので、問題が起きていないか事前に確認する必要があります。
そのためには、コンクリートの劣化を外側だけではなく、床下面からも確認するのが望ましいですe-LOUPEでは、建物の外周からだけでなく、床下からの基礎の調査も標準メニューで行っています。
- 床下の水たまり
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床下に潜ると、水がどこかからにじみ出て土間一面にプールのような水たまりができていることがあります。原因としては
- 配管がきちんと接合されていない
- 基礎の打ち方に問題がある
などが考えられます。
もちろん常に水がある状態はコンクリートに良くないですし、湿気によるカビの発生などの二次トラブルも懸念されます。
多くの調査会社は点検口からのぞくだけの調査を標準調査にしていますが、このような指摘事項はそれだけではわからないこともあります。実際、「特に指摘事項は見当たらないな」と思っていた物件で床下の奥の方で水漏れを発見する、ということもありました。
万が一のことを考えたら、しっかりと隅々まで見て回る調査を行うことが望ましいです。
- 換気ダクトの未施工
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浴室の換気ダクトがきちんと接続されておらず外れている状態だったことがありました。
本来ならば浴室の非常に高い湿度の空気を外に出さなければいけないのに、天井の上でどんどん漏れ出すことになります。そのままでは、カビや機械の不具合など、様々なトラブルの発生が考えられたので事前に見つけることができて本当に良かったと思います。
このように不具合は「見えない場所」でこそ起こりがちなのです。
さいごに
今回は内覧会で発見した指摘事項の例をご紹介してきました(e-LOUPEの内覧同行サービスの内容についてはこちらのコラムでも詳しく紹介しています)。
不具合は放置すれば建物の劣化を早めてしまいますし、大きなトラブルにも繋がりかねません。やはり住み始める前にしっかりと検査を行い、安全であることを確かめておくのがおすすめです。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。