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建売住宅を購入する方法は?流れを徹底解説
WRITER
鳥居 龍人
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
戸建住宅の購入というと夢がありますよね。昔の言い方ではありますが一国一城の主に例えられたりと、マイホームを買うというと誇らしい気持ちになるのではないでしょうか。
しかし物件を購入するにはどこで買えばいいのか、また流れがどうなっているのか漠然としていながらも買いたい気持ちだけが先行し不安を感じている方も多いと思います。この記事では戸建住宅の購入、その中でも建売住宅の購入方法や流れにフォーカスして解説していきます。
目次
建売住宅を購入する全体の流れ
建売住宅とは既に建築されている住宅と土地がセットになって販売されている物件です。一般的には不動産仲介業者に色々な物件を紹介してもらい、その中で気に入ったものを内見してから購入します。
ざっくりとした流れは知っていても、実際の事前の準備や購入までの流れを把握しておくことで、購入の手続きや引越しスケジュールの調整等も行いやすくなるでしょう。建売購入にあたって流れを簡単に説明すると以下のようになります。
建売住宅購入までの流れ
- 資金計画を立てる
- 物件を探す
- 購入の申し込み(ローンの事前審査)
- 契約日や契約条件の調整
- 不動産売買契約の締結
- 住宅ローンの申し込み
- 引き渡し前の内覧会
- 物件の引き渡し
購入までの詳しい流れ
1.資金計画を建てる
物件を買う前に、実際に自分がどの程度の物件を購入すれば無理がないのかを知っておくと安心です。特に建売住宅は販売価格が決まっているので計画が立てやすいメリットがあります。
建売住宅は既に完成していること前提ではありますが価格が決まっていることがわかりやすくて良い点ですね。
自身の年収などと比較し、ローンを組んだ場合にそのローンが30年前後続いても払い続けられるのかを必ず考慮しましょう。基本的には「定年の年齢ー現在の年齢=ローン期間」で返済できることが理想的です。
また、購入に際しては頭金を一般的に購入金額の2割、少なくとも1割以上用意できれば借入金額が少なくなるため返済負担を減らすことができます。「頭金不要」を謳っている住宅もありますが、購入した物件の売却を少しでも検討しているのであればやめておくことをおすすめします。
というのも返済負担が大きくなったり、住宅売却時にローンが残ってしまう可能性があったりと、将来の負担となる可能性が高いためです。できれば多少なりとも頭金が入れておきたいですね。
また特殊な建材を使用していたり、最近では太陽光パネルなどを設置している建売住宅もありますが、長期的なメンテナンス費用なども考慮して計画することが望ましいです。
資金計画のポイント
- 理想は「定年の年齢ー現在の年齢=ローン期間」
- 頭金は購入金額の2割程度
- 住んだあとの修繕費用も考慮する
2.物件を探す
いよいよ物件探しです。自分の予算を不動産業者に伝えたうえでいいなと感じた物件を大体5つほど決めましょう。いい条件の物件は早く売れてしまいますが安い買い物ではないため焦ってはいけません。
探せば気に入る物件は必ずあるので、これから自分自身がその物件に長く住み続けることをイメージして探すことが大切です。立地や建物の見た目も大事ですが、その地域がどのような場所なのかも調べておくとより想像しやすいかと思います。
また、気に入った物件があれば夕方頃に再度訪れてみましょう。近隣の方が帰宅し始めている状況のほうが治安がどのようになっているか、外灯などの整備具合や近隣に変わった方がいないかなども判断できるのでおすすめです。
その地域に詳しい仲介の方であれば気になることを聞いてみましょう。不明な点などを残しておくと後悔することもあるので注意が必要です。
物件探しのポイント
- 物件は5件ほど選んでおく
- 焦って購入しない
- 気に入った物件は夕方もう一度見てみる
- 物件だけでなく地域についても調べる
3.購入の申し込みをする(ローンの事前審査)
希望の物件が見つかれば売主へ購入を申し込みます。この段階では「申込み」の状態のため必ず購入できるわけではありませんが、購入の意思を示すことで優先度を上げてくれることもあるでしょう。
基本的にこのタイミングでの支払いはありませんが、場合によっては10万円程度の申込金が必要と言われることもあります。必須ではありませんが事前に必要なのか確認しておきましょう。
申し込み金を払ったのに物件が他の方に買われてしまった場合、宅建業法では全額返金が原則となっています。原則ではありますが念の為しっかりと返還されるのかも合わせて確認しましょう。
購入の申込時のポイント
- 申込みの際に10万円程度の証拠金が必要なことがある
- 申込みをしても必ず購入できるとは限らない
住宅ローンの事前審査
そして購入申し込みと同時に住宅ローンの事前審査を行います。金融機関が借り主の返済能力を判断するために行われる本審査前の審査です。社会的信用や借金の有無、勤務年数や年収などを確認します。
契約日や契約条件の調整
売買価格や手付金などもこの段階で確定となります。ここで決めた契約日に間に合うようにこの後の施主検査の日取りなども決まっていきます。
4.不動産売買契約の締結
宅地建物取引士(主に仲介業者)による「重要事項説明書」の説明を受け、「不動産売買契約書」の内容を確認し売買契約を結びます。
不動産売買は当たり前ですが金額も大きく捺印などもあるしっかりとした契約です。重要事項説明や不動産売買契約に関しても内容を必ず読んでいることが大前提となります。
この契約の場で初めて契約書を見るとなると焦りなどでしっかりと読み込めず、気になる点なども聞けないまま契約される方が以外と多いのが実情です。
トラブルの多くはこの契約の際の見落としで発生することが非常に多いので、重要事項説明書や不動産売買契約書は事前にコピーを貰い必ず内容を事前に読んでおくようにしましょう。
またこの段階で事前に話が出ている手付金を支払います。大体売買価格の3~10%程度が目安です。手付金を支払った後に買主都合の契約解除などを行うと手付金が返ってこなかったり、更に違約金が発生することもあります。この部分も必ず契約内容を確認しましょう。
契約時のポイント
- 契約書の内容は事前に読んでおく
- この時点で手付金を支払う(売買価格の3~10%)
5.住宅ローンの申し込み
売買契約の締結を終えたら住宅ローンの本審査を行います。事前審査を行った金融機関に申し込めばまず落ちることはないでしょう。稀ですが年齢などを理由に落ちることもあるので数社の金融機関に申し込んでおくことをおすすめします。
この審査が通れば晴れて住宅ローン契約が結べるようになります。この段階で火災保険等の加入も必須なため保険会社を選んでおきましょう。住宅ローン本審査では多くの書類が必要となります。事前に担当者に何が必要なのかを確認し、当日に漏れがないよう注意しましょう。
また万が一住宅ローン審査に落ちてしまった場合は契約が解約となり手付金が返ってこなくなってしまいます。契約内容に「住宅ローン特約」があれば住宅ローンが原因の解約でも手付金が返ってくるので是非加えておきたい特約ですね。
住宅ローン申し込み時のポイント
- 事前審査をした金融機関に申し込めばまず落ちることはない
- 万一のために数社の金融機関に申し込んでおくと安心
- 火災保険などの会社も選んでおく
6.引き渡し前の内覧会
会社によって施主検査や内覧会等の呼び方がありますがどれも同じことで、引き渡し前に買主が建物をチェックする日のことです。建物の全体的な説明や、設備の使い方、近隣のルールなどを担当者や仲介、施工店の監督など立会をしてくれている方から共有してもらいます。
この際に各所の寸法を図面に書いておくこともおすすめです。大きな家具や家電など階段を通らないこともあったりするので物を運搬する廊下や階段などの幅や高さなどはしっかりと押さえておきましょう。
建物の傷や汚れなどもこの時に指摘することで補修等を行ってもらえます。またこの日に見つけられなかった傷や汚れなどは重大な不具合を除いて補修を行ってもらえない可能性が高く、できるだけ内覧会の参加人数が多くなるようにして、漏れなくチェックすることをおすすめします。
気をつけたい点としてチェックする時間を事前に施工店側から決められている場合があります。「次の現場があるので~」や「一般的には1時間くらいです」など様々な理由を述べるかもしれませんが、数千万円の買い物の最終チェックですので半日かけても終わらないということもよくあります。
長時間チェックされると不具合や傷などが多く見つかる可能性があり、補修の段取り等で手間がかかり面倒くさいというのが仲介や施工店の本音かと思われますが自身が納得できることが一番大事です。あまり時間は気にせずしっかりと確認しましょう。
買主にもよりますが内覧会前に1日使ってチェックする方もいるので、長時間チェックの時間を取れないと事前に言われてしまった場合は前日チェックを行いたいと打診するのもありですね。
またチェックの際に見つかった不具合の補修は時期にもよりますが2週間程度の時間が必要です。あまり引き渡しまで日がないと引き渡されたけどまだ工事しているなんてこともあるので、内覧会から引き渡しまではある程度余裕を持った日程を組んでおくことが必要です。
内覧会(施主検査)時のポイント
- 荷物搬入時のために廊下や階段の寸法をメモしておく
- 部屋の傷や汚れをチェックしておく
- 買主のチェックは半日かかることもある
7.物件の引き渡し
チェックした不具合の補修工事が終わればいよいよ物件の引き渡しです。住宅ローンの借り入れを行う金融機関にて売主、司法書士、買主が集まり手続きを行います。
書類への捺印や署名、残代金の確認と諸費用の支払い、登記手続き等を行い引き渡しが完了となります。引き渡し後は引越し前に指摘箇所が直っているか自身の目でも確認しておきましょう。場合によっては引越しを行う前の荷物がない状態で全部屋の写真撮影などを行っておくこともおすすめです。
引き渡し時のポイント
- 引越し前に指摘箇所が直っているか確認する
- 引越し前に部屋の写真を撮っておくのもおすすめ
建売購入時の注意点
建売住宅は汚れが目立つことが多い
建売住宅は既に出来上がっているものを購入することが一般的です。そのためモデルハウスとして使用されている場合や、買主以外にも購入希望者がたくさん内見という形で室内に入っているためホコリが舞いやすく若干汚いです。
基本的にはトイレやキッチンなどの水を流すことは内見時に禁止していると思われますが、場合によっては使用されていることもあります。引き渡し前にはクリーニング業者が入り、物件全体をピカピカに掃除しますがこのクリーニング業者の当たり外れが非常に多いです。
人が掃除しているため、どの程度キレイにしてもらえるのかもその人次第となります。多くの仲介や施工店はクリーニング後に物件がキレイになっているかの確認まで行っている施工店は稀です。(私が知っている中では1社だけで、なおかつ以前クリーニング業者で痛い目を見たと語っていた現場監督さん1名だけでした)
あまりにもクリーニングが足りていないと感じた際には写真を撮ったり担当者に確認しましょう。
ホームインスペクションを活用することも一つの手
自身で建物を調査することに限界を感じた際にはホームインスペクションを依頼しましょう。屋根裏や床下など一般的に確認が難しい部分や、屋根の状況、基礎の鉄筋などを専用の機械を使用し、より詳細に物件の不具合を見つけ出すことができます。
また自身で不具合を見つけた際、この程度で指摘をしていいものなのか判断が難しい場合などでも、他所のハウスメーカーでは対応していたかどうかなどの客観的な意見を聞くこともできるため、購入前に徹底的に不具合を見つけたい、安心したい方におすすめです。
まとめ
建売住宅の購入は賃貸と違い様々なステップを踏むため少し複雑です。住宅の購入は平均的にみると物件探しに1年、契約までに3ヶ月程度時間を要すると言われていますが、早い方だと契約まで1ヶ月くらいで物件を引き渡される方もいます。
建売住宅は探せばとてもたくさん建てられており、そしてそれぞれの良さがあるため希望に合うところを探しすぎて疲れてしまうこともあるでしょう。
「絶対に譲れない条件」や「比較的妥協できる点」を軸に金額や立地などを比較検討し、時には身内の意見なども聞いてみると違った見方が発見できたりして最高の物件に巡り会えるかもしれません。
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