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建売住宅 VS 注文住宅|戸建てを買うならどっちがおすすめ?違いを解説

2024.07.13
岩井

WRITER

岩井 数行

二級建築士 e-LOUPEインスペクター

建築事務所を経て2010年に株式会社テオリアハウスクリニック入社。床下調査や断熱事業での現場経験を活かし、現在は戸建て住宅インスペクション事業に携わる。JSHI公認ホームインスペクター。既存住宅状況調査技術者。蟻害・腐朽検査士。

家を購入する際、建売住宅と注文住宅のどちらを選ぶかは、皆さんにとって非常に大きな決断ですよね。それぞれにメリットとデメリットがありますし、自分のライフスタイルや予算、希望に合った住宅を見つけるのはそう簡単なことではないはずです。

そこで当記事では、建売住宅と注文住宅の基本的な違いからそれぞれのメリット・デメリット、そして自分に合った住宅選びのポイントについて詳しく解説します。

建売住宅と注文住宅の違い

新築分譲地
まず、住宅を購入するには建売住宅と注文住宅のどちらが自分に合っているかを知ることが大切です。

建売住宅は既に設計・施工が完了している住宅を購入する形態で、すぐに住むことができる点が特徴です。一方、注文住宅は土地の選定から始まり設計・施工の全プロセスに携わることができ、自分のこだわりを反映させた家づくりが可能です。それでは、建売住宅と注文住宅の基本的な特徴と違いを詳しく見ていきましょう。

建売住宅とは

建売住宅
建売住宅は、既に完成している住宅を土地込みで購入する形態です。ただし、実際には建築途中や建築前に購入手続きを行うことも多いです。この場合でも、購入者は構造等に関して変更ができない住宅を購入することになります。(すでに完成状態が決まっているため)

建売住宅の設計はどのような人でも使いやすい標準的な造りになっていることが多く、特別なこだわりがなければ特に不便を感じないでしょう。ほとんどの方にとって普通に暮らす分には全く問題のない住宅ですね。

注文住宅とは

注文住宅の室内イメージ
注文住宅は、土地探しから始まり住宅の設計、施工と家づくりの最初から最後まで携わる形態の住宅のことを言います。何もない状態からスタートしますので、一般的に建売住宅よりも入居までの期間が長くなるのが特徴ですね。

土地によっては条件が付くこともありますが、設計者と相談しながら買主の意向に沿ったこだわりの住宅を作ることができます。気密性・断熱性やバリアフリーなど、住む人にとって本当に必要な条件や仕様をあらかじめ組み込むことができる点も大きな特徴です。

それぞれのメリット・デメリット

建売住宅はすでに完成した住宅のこと、注文住宅は設計から始める住宅のことを指すことが分かったところで、この2つにはどのような特徴、メリット・デメリットがあるのでしょうか。ここからは、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

建売住宅のメリット・デメリット

すでに完成した住宅である「建売住宅」には多くのメリットがある一方で、デメリットも多くあります。人によってはメリットに魅力を感じてもデメリットに抵抗を感じてしまうかもしれません。以下に代表的なメリット・デメリットを解説します。

建売住宅のメリット

契約手続きだけで住み始めることができる

建売住宅分譲地

建売住宅は既に完成しているため、契約が済めばすぐに入居することができるのが最大のメリットです。時間をかけずに新しい生活を始めたい方にとって大きな利点ですね。
完成している物件であれば即入居も可能

完成した新築

完成済みの物件であれば、契約後すぐに入居することができるため、引っ越しを急いでいる場合や、すぐに新居が必要な場合に適しています。
好条件の立地が多い

分譲地

住宅メーカーが土地を厳選しているため、交通の便が良い場所や、生活環境が整っているエリアに立地していることが多いです。
購入時の価格が明確で予算内に収めやすい

建売住宅は価格が明確に設定されているため、予算計画が立てやすく、資金計画に不安を感じることが少ないです。

住宅を建てる際に自身が対応することが少ない

新築

建売住宅は既に完成しているため、設計や施工の過程で自分が対応する必要がほとんどありません。手間をかけずに新居を手に入れられます。
近隣も同じタイミングで入居することが多く交流しやすい

分譲住宅

近隣住民も同時期に入居することが多いため、新しいコミュニティが形成されやすく、交流がしやすい環境です。
建物を見てから契約できるためイメージの食い違いが少ない

新築を見る人

完成済みの住宅を実際に見学してから購入を決定できるため、事前のイメージとのギャップが少なく、安心して購入できます。

建売住宅のデメリット

設計・間取りの自由度が低い
建売住宅は既に設計・施工されているため、購入者が間取りやデザインを変更することはほぼできません。これにより、自分たちのライフスタイルや趣味に合わせたカスタマイズが難しいです。また、耐震性能や断熱性能も同様に変更は難しいでしょう。
個性やデザイン性が低い
建売住宅は多くの住宅が似たようなデザインで建てられているため、個性を出しにくいというデメリットがあります。特にデザインや内装にこだわりがある人にとっては物足りなさを感じるのではないでしょうか。
品質のばらつき
建売住宅は大量生産されることが多く、品質管理が不十分な場合もあります。また、使用されている材料や施工の質にばらつきがあることがあるため、購入前にしっかりと確認する必要があります。

施工途中の見学が難しい
建売住宅は既に完成していることが多いため、施工途中の様子を見学することが難しいです。これにより、施工の質を確認する機会が限られます。品質に不安な場合はホームインスペクションで客観的に住宅の評価をしてもらうことでリスクを下げることができます。

物件ごとに素材などが異なるため比較が難しい
例えば、A社の建物は窯業系サイディング、B社は金属系サイディングの場合、それぞれから特徴の説明を受けても客観的に比較するのが難しいことがあります。(注文住宅なら設計士から客観的な説明を受けられる)

注文住宅のメリット・デメリット

注文住宅は自分たちのライフスタイルや好みに合わせて設計できるため、独自性のある住まいを実現することができます。下記にまとめたメリット・デメリットをバランスよく考えることで、最適な選択が可能となります。

注文住宅のメリット

設計の自由度が高い

設計

注文住宅では、自分たちのライフスタイルや好みに合わせて、間取りを自由に決めることができます。インナーガレージや防音室、バリアフリーなど、家族構成や将来の計画に応じた理想の住まいを実現することができるでしょう。
独自性のあるデザイン

注文住宅

建築家や設計士と相談しながら、自分だけのオリジナルデザインの家を建てることができます。色合いや建材など、他の住宅と差別化された独自の住まいが実現します。
高品質な素材や設備を選べる

注文住宅のリビング

使用する建材や設備を自分で選ぶことができるため、高品質なキッチン、ユニットバスを採用したり、素材にこだわった家づくりが可能です。耐久性や性能を重視した住宅を実現することができます。
環境に配慮した設計が可能

注文住宅

省エネルギー住宅など、環境に配慮した設計を取り入れることができます。エネルギー効率の良い住まいを作ることで、光熱費のランニングコストを削減しやすくなるのが建売住宅と異なる点です。
土地選びから始められる

土地

自分の理想の場所に土地を選んで建てることができるため、周辺環境や利便性など、自分の希望に合った土地での家づくりが可能なのも注文住宅ならではですね。
住宅の品質を把握しやすい

建築中

設計や施工の過程を自分で確認できるため、住宅の性能や品質を把握しやすいです。施工中の様子を見学することで、安心感を持って家づくりを進めることができますね。

注文住宅のデメリット

実際に住めるまでの期間が長い
自分たちの希望や要望を反映させた住まいを建てるため、設計や建築の準備に時間がかかる場合があります。完成までの期間が長引くことが大きなデメリットです。
予算オーバーのリスクがある
途中で間取りを変更したり、特注の素材を使用する場合など予算を超えることがあります。また、材料費等の高騰で当初の予算を上回る可能性もあるため、細かいコスト管理が必要です。
施主が対応することが多い
注文住宅では、間取りや設備、素材など細かい希望を自分たちで出す必要があります。そのため、自身での情報収集や決定が求められることがある点は人によってはデメリットに感じるでしょう。建売住宅より時間的拘束が長くなるのも注文住宅の特徴です。
土地の取得が困難な場合がある
自分たちの理想の立地条件に合った土地を見つけることは意外と大変で難しい場合があります。また、その土地の条件によっては希望通りの住宅を建てられないこともあります。
周囲の景観とマッチしないことがある
自分たちの希望に沿ったデザインや色彩を選ぶことで、周囲の景観と調和しない場合があります。地域の風景や規制に適合する設計をする必要があります。

建売住宅VS注文住宅|どっちが有利?

このように、建売住宅と注文住宅にはそれぞれメリットやデメリットが多く存在します。自分はどんな家を建てたいのかをしっかりと把握することで、どっちが合っているのかを判断できるようになるはずです。

では、建売住宅と注文住宅のメリットを項目ごとにまとめるとどうなるでしょうか。表にすることで、自分がこだわりたい項目の長所・短所が見えてきます。

建売住宅 注文住宅
購入形態 既に完成している住宅を土地込みで購入 土地探しから設計・施工まで自分で行う
設計 標準的な設計で変更不可 自由に設計・カスタマイズ可能
価格 比較的安価 高額になりやすい
購入手続き 短期間で済む 時間と労力がかかる
カスタマイズ ほとんど不可 自由度が高い
デザイン 一律的 独自性が強い
施工期間 既に完成しているため即入居可能 設計・施工に時間がかかる
品質 標準的 材料や設備にこだわれる
適合性 一般的な家庭向け 住む人のニーズに合わせた設計が可能
環境対応 標準的な対応 エコ住宅やエネルギー効率の良い設計が可能
立地 整備された住宅地が多い 土地探し次第で自由に選択可能

 
このようにして比較すると、建売住宅はスピード感を持って比較的安価に購入することができる戸建住宅だということが分かりますよね。逆に、注文住宅は全体的に時間をかけてこだわりの建物を建てるものだということが分かるのではないでしょうか。

結論:あなたは建売向き?注文向き?

建売住宅が向いている人

  • 実際に住み始める日程が決まっている(子供の入学など)
  • 必ず予算内に収めたい(金額を重視している)
  • 特別な使い方を想定していない(防音室や耐震性など)
  • 仕様を一から決めるのが面倒

注文住宅が向いている人

  • 家にこだわりたい点がある
  • 予算に余裕がある
  • 住み始めるまでに時間の余裕がある
  • 土地を既に持っている(自宅の空き敷地など)
  • 家づくりに最初から携わりたい

まとめ

戸建て住宅の購入を検討する際は、希望するものがどのような建物なのかをまず理解することが重要です。予算、スケジュール、こだわりたい点を明確にしましょう。早く入居したい、標準的な設計で問題ない場合は建売住宅が適していますし、住居に強くこだわりたい、時間に余裕がある場合は注文住宅が向いています。

建売住宅は完成物件を見て購入でき、手軽に入居可能です。ただし、建売住宅は後からのリフォームが難しいことや、耐久性が低い材料が使われていることがあります。一方、注文住宅は一から設計できるため、こだわりを反映させた理想の住まいを作ることができますが、その分、費用や工期がかかりがちです。

長く住むことを考える場合、リフォームしやすく、耐久性の高い材料を使った注文住宅も選択肢に入れてみてください。いずれにせよ、自分たちのライフスタイルや将来設計に合った住宅を選ぶことが大切です。

建売住宅、注文住宅ともに建物の施工品質や構造について不安がある方も多いと思います。そんな場合はホームインスペクションを活用して建築士にしっかり診てもらうのがおすすめです!

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