e-LOUPEの旬ネタコラム
- 中古戸建て
住宅診断に携わる人が持つ「3つの資格」とは?
WRITER
岩井 数行
二級建築士 e-LOUPEインスペクター
私たちが日々行っている住宅診断ですが、よくお客様から「何か特別な資格は持ってるんですか?」とご質問をいただきます。
そこで今回は、住宅診断に携わる人間が保有する「3つの資格」、についてお話をしていきたいと思います。
住宅診断に必要な資格①建築士
まず、必須の資格として「建築士」があります。有名な国家資格なので誰もが一度は聞いたことがあると思います。
建築士は最終学歴や学科によって、実務試験が免除されたり、種類も「一級建築士」、「二級建築士」、「木造建築士」と三種類あります。それぞれに特徴があり、受験資格を得るための条件も異なります。
制限が多い順番として、
- 木造住宅の設計に限られる木造建築士
- 一般的な住宅の大きさまで可能な二級建築士
- 構造や規模の内容を問わない一級建築士
となっています。
このため、一級建築士の方が多くの経験を積んでおり、住宅診断を任せる上でも比較的安心、というイメージを持たれがちです。
とはいえ、実際のところ重要なのは、その人がどれぐらい真摯に実際の業務に携わっているかです。資格を持っているから即適任・・・と見なしてしまうのは早計で、やはり鍵になってくるのは「どれだけ実務経験をこなしているか」です。
これについては後ほど詳しくご紹介したいと思います。
住宅診断に必要な資格②既存住宅状況調査技術者
続いて、中古物件の住宅診断に必要な資格である「既存住宅状況調査技術者」です。
「何それ?聞いた事がないな。何だか漢字が続いていて分かりにくいし」と思うかも知れませんね。
確かにこの資格は、建築士に比べるとあまり認知度がなく、ご存知でない方が多いと思います。
この資格が生まれた経緯は、平成28年に宅建業法が改正されたことにあります。
宅建業法の改正により、既存住宅の取引の際には「建物状況調査のあっせん」ができるかどうかの説明が必要となりました。
もし建物状況調査を実施した場合、その結果は売買取引の際、「重要事項説明」として伝えられます。
この建物状況調査を実施できるのが「既存住宅状況調査技術者」の資格者というわけです。
ただこの資格は、前述の建築士の資格さえ持っていれば取得することが可能で、しかも講習はたった一日間だけ、というのが実情です。
建築士と同じように、中古物件に関する様々な実務経験が、資格そのものよりも重要視すべきと考えられます。
住宅診断に必要な資格③ホームインスペクター
「ホームインスペクター」は民間の資格であることから、法律上必ず取得しないといけない資格ではありません。
しかしながら、勉強する内容や試験の難易度、買主が腕前を判断するための基準として、欠かせない資格だと考えています。
民間の資格というと、何となく「無理して取る必要がないものなんじゃないの?」というイメージを持たれてしまうかもしれません。
しかしホームインスペクターになるための試験は、しっかりと勉強をしないと合格するには至りません。
過去の合格率も30%前後と、なかなかにして難関です。そのことから、「自ら勉強して資格を取りに行こう」という人たちが、結果として合格者となります。
より実務を意識して作られた資格であることから、この資格を取得しているかどうかは調査の品質を最低限保証する重要なポイントであると言っても過言ではありません。
ちなみに住宅診断に関する資格を付与する民間団体はいくつか存在しますが、代表的なものに日本ホームインスペクターズ協会(JSHI)があります。
資格はあくまでも「最低限」の保証
今回は住宅診断に必要な資格について解説してきました。
一生に一度の買い物と行ってもいい住宅ですが、住宅診断を使うのであれば、その背景にある「資格」についても知っておいて損はありません。
とはいえ、資格を保有しているかどうかはあくまでも必要最低限のラインであることも忘れてはいけません。
住宅診断においては「実務経験の有無」や「組織力」が非常に重要です。
調査は実際に自分の体を動かして行うものですので、理論だけではない「経験の場数」が非常に重要になります。また、「同じ会社なのに人によって診断にかける時間や使う道具、診断方法が違う」というようでは調査の品質にもばらつきが出てしまいます。
もし住宅診断を検討されているようでしたら、こう言った要素も判断基準として考慮されることをおすすめします。
「見えないところへの徹底した追求」がe-LOUPEの基本方針です。